2010 Fiscal Year Annual Research Report
布マルチを利用した省力・環境保全稲作実現のための機械・栽培システムの開発研究
Project/Area Number |
21580309
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山下 淳 愛媛大学, 農学部, 教授 (40036405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 秀樹 愛媛大学, 農学部, 教授 (40112255)
上野 秀人 愛媛大学, 農学部, 准教授 (90301324)
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Keywords | 水稲布マルチ / 直播栽培 / 無農薬・無科学肥料 / 環境保全型農業 / トラクタによる布敷設システム / 苗活着促進システム / 肥料窒素の動態解析 / 葉位別光合成速度 |
Research Abstract |
水稲布マルチ直播栽培法で残された問題は、布マルチ敷設時に多大の時間を要することである。そこで、11kWトラクタに2ロール敷設システムを装着し、本システムの効率的利用法について検討した。その結果、枕地部を残し、最後にそれを敷設する場合のほ場作業効率は約81%と枕地なしの場合の約2倍と高かった。また、代かき区におけるほ場作業量(a/hr.)は無代かき区と比べて大であった。これは代かき区では田面の凹凸が少なく敷設作業が容易であったことによる。他の問題の一つは、落水・着土後における苗の活着不良に起因する収量の低さである。そこで灌漑期間中に発生した気泡を除去するため、テイラーに鎮圧ローラを装着した苗活着促進システムを試作し、落水・着土1週間後に鎮圧作業を行った。その結果、気泡の大半は除去でき、踏み倒された苗は3日後には完全復元した。刈取り前の稲体の倒伏抵抗を調べた結果、無鎮圧区の稲体(茎数7.0/株)が1.13N/株に対して鎮圧区(茎数5.1/株)のそれは2.56N/株と高い倒伏抵抗性を示した。 この他、栽培システムの改善として、追肥法及び窒素動態について研究した。元肥窒素を6g/m^2施肥し、幼穂形成期に窒素追肥量(0、3、6g/m^2)を変えて登熟中期における葉位別光合成を測定した。上位葉における光合成速度は、ほとんど差がみられなかったが、下位葉では追肥量が多いほど葉面積ならびに窒素含有率が高く維持され、光合成速度が高く、このため個体全体の光合成が高く、収量はそれぞれ368、424、480g/m^2となり、追肥量が収量増加の主要因と考えられた。 15N同位体トレーサを用いた肥料窒素の動態解析を行い、布マルチの肥料養分の削減効果についてポット実験で検証した。その結果、生育初期に元肥窒素をある程度吸着するが、その効果は生育後半に発現し、後期の水稲生育が旺盛になること、登熟歩合も慣行区に比べて高くなった。このことから布マルチは、収量向上に貢献するだけでなく、肥料成分の流出も抑制することが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)