2011 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱におけるP2X受容体の役割解明とその受容体を標的とした治療薬の応用
Project/Area Number |
21580365
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊藤 勝昭 宮崎大学, 農学部, 名誉教授 (70136795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 薫 南九州大学, 健康栄養学部, 教授 (70341633)
浅井 史敏 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00511677)
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Keywords | 獣医学 / 頻尿 / 膀胱痛 / P2X受容体 / TRPV1受容体 / ATP / 尿道 |
Research Abstract |
1.ラット各種頻尿モデルにおけるATP受容体P2Xおよびバニロイド受容体TRPV1の関与 ラットの尿道を部分的に狭窄して2週間以上経つと慢性的な頻尿を呈してくる(BOOモデル)。このBOOモデルにおける頻尿、排尿痛を観察した。頻尿はP2X1拮抗薬により部分的に抑制された。しかし、排尿に伴って痛みを示唆するような行動は示さなかった。前年度からの研究を合わせて4つの頻尿モデルで頻尿、排尿痛におけるATP受容体P2X、バニロイド受容体TRPV1の関与を考察する。シクロホスファミド(CYP)皮下注射による膀胱炎に伴う頻尿、疼痛にはP2X1が主に関与する一方で、カプサイシン膀胱内注入による急性頻尿、疼痛にはTRPV1が主として関与することが示された。酢酸膀胱内注入による頻尿、排尿痛には一部P2Xが関与していた。排尿痛を示した3つのモデルでは排尿痛が排尿の中断を引き起こし、それがさらに排尿頻度を増加する要因となっていることが示唆された。BOOモデルでは排尿痛は存在せず、頻尿にP2X受容体が部分的に関与することが示された。以上の結果から、頻尿に関わる活性物質及び受容体の関与は異なり、病態に応じて治療薬を選択する必要があることが示唆された。 2.ラット膀胱および尿道の収縮に関与する受容体 ラットから摘出した膀胱および尿道の内在神経を刺激したときの収縮におけるP2X1受容体及びP2X3受容体の関与を調べた。膀胱排尿筋にP2X1及びP2X3のmRNA及びタンパク質が発現することをRT-PCRとウエスタンブロットで確認し、さらにそれぞれの蛍光抗体を用いてレーザー顕微鏡でも局在を確認した。さらに薬理学的実験で両受容体が収縮に関与することを確かめた。尿道の収縮に関しては近位部と遠位部で収縮の性質が全く異なっており、近位尿道の収縮はムスカリン受容体の関与が強いが、遠位尿道の収縮はムスカリン受容体拮抗薬、P2X受容体拮抗薬に抵抗性で、尿道は部位によって神経支配及び受容体の分布が著しく異なることが示唆された。
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Research Products
(1 results)