2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガス壊疽菌産生壊死毒素による急性心原性ショックの病態生理機構の解明
Project/Area Number |
21580379
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
向本 雅郁 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80231629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 俊司 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10109895)
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Keywords | 悪性水腫 / クロストリジウム / 細胞壊死毒素 / 心臓 / 心不全 / セプチカム |
Research Abstract |
これまでの結果より、心筋細胞が拍動停止に至る時点でα毒素がpore形成に至っていることから、濃度勾配により細胞内外へのイオンの移動が起こると予想される。今年度は、心筋収縮に直接関与するイオンであるCa^<2+>に焦点を絞り、毒素添加時の心筋細胞内Ca^<2+>濃度の変化が心筋細胞の拍動に与える影響を調べた。α毒素処理時のCa^<2+>濃度が生理条件下での細胞外および筋小胞体内に近い高濃度(1mM)の場合と、細胞質内Ca^<2+>濃度に近い低濃度(0.1μM)の場合とで心筋細胞の拍動変化に違いがみられた。Ca^<2+>濃度が1mM以上の場合、心筋細胞は拍動リズムが早くなった後、拍動を停止しその後拍動の再開は見られなかった。拍動リズムが早くなるという現象は、筋小胞体内のCa^<2+>が過剰になることにより、筋小胞体からのCa^<2+>放出頻度が増加したためであると考えられる。Ca^<2+>濃度が0/1μM以下の場合、心筋細胞は拍動リズムが早くなる前に拍動を停止し、その後一時的に拍動が再開した。細胞外へのCa2+の流出により細胞質内Ca2+濃度が低くなり拍動が一旦停止すると考えられる。その後、Ca^<2+>ポンプにより細胞質内Ca^<2+>が筋小胞体内へ取り込まれると細胞質内Ca^<2+>濃度が細胞外に比べ低くなるため、細胞外から細胞質内へのCa^<2+>の流入が起こり、筋小胞体内へCa^<2+>が蓄積されることで拍動が再開したものと推察される。一方、拍動を停止した心筋細胞へATPを添加すると拍動が再開した。細胞質内Ca^<2+>の過剰によるミトコンドリア障害からのATP産生の低下や、激しい収縮運動によるATPの消費などによりATPが枯渇した可能性が考えられる。この結果、心筋細胞が収縮不能となり拍動が停止したと推察される。
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Research Products
(1 results)