2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580383
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
丹羽 光一 Tokyo University of Agriculture, 生物産業学部, 教授 (20301012)
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Keywords | ボツリヌス毒素 / ボツリヌス中毒 / 小腸上皮細胞 / トランスサイトーシス / 感染症 / 病態生理学 |
Research Abstract |
本研究は、ボツリヌス毒素の動物腸管からの吸収機序を明らかにし、その機序を利用してボツリヌス毒素の予防法を開発することを目的とする。 ボツリヌス菌C型Stockho 1m株(C-St)およびD型4947株(D4947)を嫌気培養し、カラムクロマトグラフィーにより神経毒素(BoNT)、および毒素複合体(L-TC)を精製した。これら毒素のラット培養小腸上皮細胞IEC-6に対する結合および透過を調べた。 C型、D型いずれのBoNT、L-TCもIEC-6に結合し、透過した。いずれもL-TCのほうが結合量、透過量ともに多かった。これら毒素が細胞膜上のどの糖鎖に結合して透過するかを調べるために、各種単糖を同時に添加して毒素の結合と透過に及ぼす影響を調べた。その結果、シアル酸であるNアセチルノイラミン酸を同時に添加することでC型、D型いずれのBoNT、L-TCも結合と透過が抑制された。また、D型毒素L-TCの細胞への結合と透過は、L-TCの構成成分であるHA-33に対する抗体の添加によって抑制された。以上の結果から、家畜にボツリヌス中毒を引き起こすC型、D型ボツリヌス毒素いずれにおいてもBoNTよりもL-TCのほうが効率よく腸管から吸収されること、また腸管からの吸収には細胞膜上のシアル酸が寄与していることが強く示唆された。さらに、D型L-TCの腸管上皮細胞への結合と透過は、主にHA-33を介していることが示唆された。以上のことから、家畜の飼料にシアル酸または類似物質を配合することで、腸管からのボツリヌス毒素の吸収を抑制できる可能性が強く示唆された。
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