2009 Fiscal Year Annual Research Report
補助犬の凍結精液銀行設立を目的とした犬凍結精液作成技術の確立
Project/Area Number |
21580396
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
堀 達也 Nippon Veterinary and Life Science University, 獣医学部, 准教授 (80277665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 敏彦 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (40060529)
河上 栄一 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (80139352)
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Keywords | 犬 / 凍結精液 / 低温保存 / 内視鏡 / 子宮内授精 / 精液希釈液 |
Research Abstract |
犬精子は低温による影響を受け易いため、他の動物と同様に4℃での低温保存が適切かどうかは不明である。そこで犬精液を2つの精液希釈液(卵黄トリス・クエン酸液・フルクトースまたはグルコース)で希釈し、2、4、8、12、16、20および24℃の温度で72時間まで保存し、犬精子における最適な低温保存温度および希釈液による影響について検討した。その結果、4~12℃保存群では48時間まで精液性状を良好に保存することができたが、72時間の保存では精子活力の低下および精子奇形率の増加がみられた。また、2℃および16℃以上の保存群では24または48時間以上の保存で精子活力の低下および精子奇形率の増加がみられた。2つの希釈液の間で精液性状の結果に差はみられなかった。以上のことから、犬精子は4~12℃の範囲での保存温度が適切で、低温保存による輸送では48時間以内まで可能であることが明らかとなった。この検討は、凍結精液作成過程における予備的な実験として位置づけ、今後、この最適な低温保存温度および2つの希釈液を考慮した最適な凍結精液作成を検討する。 犬凍結精液による人工授精は外科的に行っていたが、犬にかかるストレスを考慮すると非外科的な経膣の子宮内授精の開発が必要である。しかし、経膣の子宮内授精は雌犬の特徴的な解剖学的構造から容易に行うことはできず、熟練した技術や高価な機器を必要とする。そこで、凍結精液の技術を臨床応用することを目的として、小動物用内視鏡を使用した経膣による子宮内授精法の技術開発のための予備的な検討として、排卵前後の外子宮口と生殖道内の観察およびカテーテルの挿入が可能であるかどうかについての検討を行った。その結果、各性周期における膣腔内の観察は行えたが、外子宮口にカテーテルが挿入できたものは、11頭中発情前期の1例だけであった。今後は、外子宮口の観察可能範囲の拡大を視野に入れ、それを可能にする空気圧や子宮腔部の弾力性と外子宮口の狭い径に対するカテーテルの強度の向上、また子宮頸管の走行に適合したカテーテルなどの開発が必要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)