2010 Fiscal Year Annual Research Report
補助犬の凍結精液銀行設立を目的とした犬凍結精液作成技術の確立
Project/Area Number |
21580396
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
堀 達也 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (80277665)
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Keywords | 犬 / 凍結精液 / 低温保存 / 輸送 / 子宮内授精 / 精液希釈液 |
Research Abstract |
国内の遠隔地や海外にいる優秀な犬の精液を凍結保存する場合、犬を輸送することは容易ではない。以前の研究で犬の低温精液は、2日の保存でも精子活力を80%以上に保持できることが知られている。すなわち、精液だけを低温で輸送しこの精液を凍結保存することが可能であれば、どの地域にいる優秀な犬の精液を有効に保存することが可能となる。そこで、低温保存後の精液による凍結融解後の性状に与える影響について検討を行った。実験は、雄ビーグル犬2頭の犬から精液を採取し、精液性状に差がないことを確認後、混合して1サンプルとし、さらにこれを3等分して、0~48時間まで低温(4℃)保存後に凍結精液を作成し、融解後の精子活力、精子生存率および精子奇形率について観察した。その後、この精液における受精能を明らかにするため、雌ビーグル犬20頭を使用して外科的な子宮内授精を実施した。なお、授精精子数4×10^7とした。 その結果、凍結融解後の精子活力および精子生存率は、0時間保存群と48時間保存群の間に有意差が認められた。精子奇形率は、0時間保存群に対して、24、48時間保存群でわずかに高値を示した。すなわち、低温保存後には精子活力は明らかに低下しているが、凍結融解後の精子活力は24時間保存までは変わらず、48時間においても平均25.0±5.5%であり十分に子宮内授精に使用可能であると考えられた。しかし、子宮内授精後の結果は、0時間低温保存後の凍結精液による受胎率は80.0%、24時間低温保存後の凍結精液において受胎率は71.4%と高値であったが、48時間低温保存後の凍結精液において受胎率は22.2%と低率であった。 以上のことから、凍結融解後の精子活力や精子生存率が高いにもかかわらず、48時間低温保存した精液の凍結精液による子宮内授精では、高い受胎率が得られないことが明らかとなった。すなわち、精液を低温輸送して凍結保存するには、精液の低温保存は24時間までが有効であると考えられた。
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