2010 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性イオンチャネルにおける電位センサーとイオンゲートとの動作連関
Project/Area Number |
21590040
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大澤 匡範 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60361606)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70196476)
|
Keywords | 電位依存性イオンチャネル / 電位センサードメイン / gating modifier toxin / 分子認識様式 |
Research Abstract |
本研究では、古細菌由来電位依存性カリウムチャネルKvAP、および、放線菌由来pH依存性カリウムチャネルKcsAを解析対象として、gatingに伴うVSDおよびPDの構造変化・ダイナミクスをNMRにより明らかにし、イオンチャネル開閉機構を解明することを目的とした。 平成22年度は、KvAPの電位センサードメイン(VSD)と、VSDに結合しKvAPの開口を阻害するgating modifier toxin, Vstx1との分子認識様式を解明した。まず、界面活性剤で可溶化したKvAP-VSDと、Vstx1との結合親和性を、等温滴定型熱量計を用いて明らかにした。また、各種三重共鳴実験によりVstx1の主鎖NMRシグナルの連鎖帰属を行った。均一^2H^<15>N標識を施したVstx1に対する、界面活性剤およびKvAP-VSD添加時のNMRスペクトル変化、および、交差飽和法の解析を行った。その結果、Vstx1のどの残基が、界面活性剤中のアシル基およびVSDと相互作用しているかを同定することに成功した。また、Vstx1が結合した際のVSDの構造変化部位は、Vstx1結合部位近傍に限られていることから、Vstx1が電位のかかっていない脱分極時のVSDと選択的に結合することが示唆された。さらに、アミノ酸選択的交差飽和法により、VSDとVstx1の相互作用残基対を同定し、両者の複合体モデルの構築に成功した。VSDに結合するtoxinの結合部位は、これまでに変異体を用いた解析により同定されたにすぎなかったが、今回、これらの分子認識の構造基盤が得られた。また、今回用いた界面活性剤のアシル基は、脂質二重膜中のものと類似している。交差飽和法によって、脂質との相互作用と、VSDとの相互作用が観測されたことは、Vstx1が脂質二重膜中に分配した状態でVSDと結合するといった脂質二重膜中のタンパク質-タンパク質相互作用を反映していると想定できる。
|