2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖を導入した高分子複合体の消化管膜機能制御に基づく糖尿病治療戦略の構築
Project/Area Number |
21590051
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
佐久間 信至 摂南大学, 薬学部, 教授 (80388644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 伸二 摂南大学, 薬学部, 教授 (00158156)
明石 満 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20145460)
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学系, 教授 (20155237)
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Keywords | 高分子複合体 / ヘキソーストランスポーター / インクレチン / 糖尿病 / 配糖体 / デンドリマー / SGLT1 / GLP-1 |
Research Abstract |
経口投与された糖質は、消化酵素によりグルコース等の単糖に分解された後、主に小腸上皮細胞の消化管側の膜上に局在するヘキソーストランスポーターのNa+/糖共輸送体(SGLT1)を介して能動的に吸収される(血糖上昇)。さらに糖質は、小腸に存在するL細胞を刺激し、glucagon-like peptide-1(GLP-1)の血中への分泌、同GLP-1による膵臓β細胞の刺激を介して糖依存性のインスリン分泌を促進する(血糖低下、インクレチン効果)。我々は過去2年間の研究を通して、配糖体を側鎖に導入した高分子複合体がSGLT1阻害を介してin vivoにおける血糖上昇を抑制することを見出している。本年度は、これまでに合成した配糖体-高分子複合体に関して、GLP-1分泌初代培養細胞を用いて、L細胞刺激を介したGLP-1分泌促進作用の有無を検証した。その結果、末端にカルボキシル基を持つポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーにアルブチン(ARB)を結合させた複合体(PAMAM-ARB)が、ポジティブコントロールの脂肪酸や高濃度グルコースと同様にGLP-1分泌促進作用を有することが示唆された。同様の効果は、PAMAM-ARBの構成成分であるアルブチンやPAMAMデンドリマーには観察されなかった。一方、高分子をPAMAMデンドリマーからポリ(γ-グルタミン酸)に変更したとき、GLP-1分泌促進作用は消失した。昨年度の検討から、PAMAM-ARBはSGLT1阻害作用を有することが確認されている。以上、PAMAM-ARBは、SGLT1阻害作用とGLP-1分泌促進作用(L細胞刺激作用)を併せ持つ、新しいタイプの経口抗糖尿病薬のシーズとなる可能性が示された。
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[Presentation] 消化管膜機能制御に基づく抗糖尿病作用を有する配糖体-高分子複合体の精密設計2012
Author(s)
佐久間信至, 金光俊, 寺岡裕美, 政岡祥江, 片岡誠, 山下伸二, 白坂善之, 玉井郁巳, 村岡雅弘, 中辻洋司, 木田敏之, 明石満
Organizer
日本薬学会第132年会
Place of Presentation
札幌
Year and Date
2012-03-30
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