2010 Fiscal Year Annual Research Report
家族性パーキンソン病原因遺伝子DJ-1発現誘導機構解明と治療法開発への試み
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21590091
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平 敬宏 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70197036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤室 雅弘 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (20360927)
王賀 理恵 山梨大学, 医学部, 助手 (00160432)
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Keywords | DJ-1 / パーキンソン病 / 神経変性疾患 / 転写調節 / 神経細胞 / 神経膠細胞 / アストロサイト / 癌遺伝子 |
Research Abstract |
細胞癌化遺伝子産物DJ-1タンパク質は、細胞癌化を促進するのみならず、家族性パーキンソン病(PARK 7)の原因遺伝子であることが明らかにされている。DJ-1タンパク質抗酸化ストレス防御タンパク質として神経細胞保護に作用し、パーキンソン病などの神経変性疾患発症抑制に寄与することが我々および多くの研究者により明らかにされてきた。DJ-1タンパク質は、抗酸化ストレス防御タンパク質機能以外にも、転写調節因子、タンパク質分解酵素などさまざまな機能が知られている。そこで、平成22年度は、DJ-1タンパク質の酸化ストレス防御機能以外の機能について検討した。 その結果、DJ-1タンパク質は、カテコラミン生合成系の律速酵素であるチロシン水酸化酵素、及びドパミン脱炭酸酵素と複合体を形成し、この2つの酵素活性を制御(促進)することを明らかにした。また、この酵素活性促進作用には、ヒトとマウス(げっ歯類)間で生物種特異性があることを明らかにした。さらに、家族性パーキンソン病(PARK7)で見いだされている各種変異体では、酵素活性促進作用が見られないことを明らかにした。 パーキンソン病は、神経系におけるドパミン減少が主徴であり、ドパミン分泌促進(維持)にDJ-1タンパク質機能が示唆され、パーキンソン病の新たな治療薬開発の可能性を提示することができた。 現在、さらなるDJ-1タンパク質機能を神経細胞のみならず神経膠細胞(アストロサイト、ミクログリア)での機能探査を開始している。
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