2011 Fiscal Year Annual Research Report
家族性パーキンソン病原因遺伝子DJ-1発現誘導機構解明と治療法開発の試み
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21590091
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平 敬宏 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70197036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王賀 理恵 山梨大学, 医学部, 助手 (00160432)
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Keywords | DJ-1 / パーキンソン病 / 神経変性疾患 / 転写調節 / 神経細胞 / 神経膠細胞 / 酸化ストレス / 細胞死 |
Research Abstract |
平成23年度は、家族性パーキンソン病(PARK7)原因遺伝子DJ-1について、以下の解析を行った。1、神経膠細胞におけるDJ-1タンパク質機能、2、DJ-1タンパク質によるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)遺伝子発現誘導生物種差(ヒトとマウス間)、3、DJ-1特異的結合低分子量化合物による6-OHDA細胞死誘導耐性作用を検討した。 1、ヒト全脳由来cDNAライブラリーおよびマウスアストロサイト由来cDNAライブラリーから、新規DJ-1結合タンパクとしてエネルギー獲得、グリア伝達物質分泌に関与する3種遺伝子を単離した。現在、結合の特異性、DJ-1タンパク質による結合タンパク質の制御機構の検証をすすめ、DJ-1タンパク質による、神経膠細胞を介した神経細胞保護作用の可能性が示唆された。パーキンソン病(PD)発症に対する神経膠細胞機能の関与が示唆された。 2、DJ-1タンパク質によるTH遺伝子発現誘導の生物種差を平成22年に論文報告している。そこで、その生物種差の起因となるアミノ酸部位を決定することにより、新規パーキンソン病治療薬開発への可能性を試みる。現在、ヒトとマウスの各種キメラDJ-1遺伝子を作成し、レポーターアッセイによりヒトTH遺伝子プロモーターに作用するDJ-1のアミノ酸領域の限定がほぼ終了し,今後はこの領域の合成ペプチドの作用をさらに検討する。 3、DJ-1タンパク質は、自己酸化により活性酸素を消去する。DJ-1のタンパク質構造を維持する特異的化合物をインシリコ探索により得ているが,これらの化合物が6-OHDAによる神経細胞の酸化損傷(細胞死)を回避することを明らかにした。この化合物をシードとして、新規作用点からのPD治療薬創成の可能性を示唆した。
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