2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入・発現増強剤としての正電荷ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の開発
Project/Area Number |
21590131
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
長岡 康夫 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90243039)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 喜之 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (90350222)
上里 新一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50111969)
|
Keywords | 遺伝子導入 / リポフェクション / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / 遺伝子発現 / HDAC / HDAC阻害剤 |
Research Abstract |
リポフェクション法による、動物細胞内への遺伝子導入技術は、その安全性や実験方法の簡便性から最も汎用されている遺伝子導入法である。しかしながら、本法はウイルスベクターなどを用いた方法と比べ、遺伝子導入・発現効率が低く、その改善が求められている。そこで、本研究では遺伝子発現上昇作用が期待されるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤と既存のリポフェクション試薬とを組み合わせ、高い遺伝子導入率と高い遺伝子発現効率を併せ持つ、遺伝子導入剤の開発を目的とした。 遺伝子発現効率を既存のリポフェクション試薬(従来法)を用いた場合の10倍以上に増強するという当初の目標を掲げたが、平成22年度までに、新規HDAC阻害剤脂質複合体の開発により、この目標は達成された。平成23年度は、本剤の汎用性を証明するために、市販のリポフェクション試薬5種について本剤添加時の導入遺伝子発現増強作用について調べた。その結果、Lipofectamine2000という、一般によく使われる遺伝子導入剤で最もその効果を発揮することが分かった。遺伝子導入の対象となる細胞種についても、4種類の異なるものを用いたが、いずれの細胞種でも、同様な促進効果が認められた。 さらに、平成23年度には遺伝子発現上昇の詳細なメカニズムを評価する系として、フローサイトメトリーを使った細胞ごとの評価系を検討した。GFP発現遺伝子を細胞に導入することにより各細胞ごとの発現量を比較した。その結果、本剤の効果として、各細胞の遺伝子発現量はさほど上げないが、発現細胞数が増えることが分かった。また、蛍光ラベルした遺伝子を導入し、共焦点レーザー顕微鏡で調べたところ、遺伝子の核への移動にはさほど影響を及ぼさないことも分かった。
|
Research Products
(7 results)