2009 Fiscal Year Annual Research Report
アリル炭化水素受容体を介した精子産生機能障害のin vivo機構解析
Project/Area Number |
21590140
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
木津 良一 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 薬学部, 教授 (80143915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞田 法子 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (60411089)
後藤 由佳 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (90509259)
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Keywords | 内分泌撹乱作用物質 / アリル炭化水素受容体 / 多環芳香族炭化水素 / 精子産生機能 |
Research Abstract |
従来から環境化学物質がヒトや野生動物の精子産生機能に及ぼす影響が注目されており、その機構を分子レベルで解明することがますます重要になっている。そこで、本研究では精子産生機能を障害する作用が認められた化合物の作用機構、特にアリル炭化水素受容体(AhR)の役割を明らかにすることを目的とし、雄性ddYマウスを用いて研究を行った。雄性ddYマウスの精細管内に化合物を直接投与し、3、4又は5週間後に顕微鏡を用いて精子細胞とセルトリ細胞を観察し、精子数を計測した。まず、AhRアゴニストとして多環芳香族炭化水素であるベンゾ[a]ピレン(BaP)又はクリセン(Chr)をマウスに投与し、精子産生機能障害を評価した。その結果、BaP及びChrを投与したマウスでは、対照群のマウスに比べ、弱いながらも精子産生機能の障害が観察された。また、得られた組織切片において、精細管内のセルトリ細胞と精子細胞中のCYP1A1タンパク質発現に対する各化合物の効果を免疫染色法により検討したところ、BaPまたはChrを投与したマウスでは、弱いながらもCYP1A1タンパク質発現の誘導が観察された。以上の結果から、本研究ではAhRアゴニストであるBaPやChrがAhRを介し、精子産生機能を阻害する可能性が示唆された。近年、精子の質の低下が提唱されているなど、環境中に普遍的に存在するAhRアゴニストなどの環境汚染物質による精子産生機能障害の影響が懸念されていることから、実験条件の最適化により、BaPやChrの精子産生機能に対する阻害効果がさらに強く発揮される可能性が考えられる。さらなる実験条件の再検討が必要である。
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Research Products
(3 results)