2009 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイドによる海産性巻貝類のインポセックス誘導機構
Project/Area Number |
21590143
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
西川 淳一 Mukogawa Women's University, 薬学部, 教授 (90218131)
|
Keywords | レチノイン酸受容体 / レチノイド / 核内受容体 / インポセックス / イボニシ / 内分泌撹乱物質 |
Research Abstract |
軟体動物の性分化にレチノイドが関与していることを証明するため、海産性巻貝類のイボニシからレチノイン酸受容体(以下RARと略す)相同遺伝子のクローニングを行い、その性状を解析した。イボニシから調整したmRNAを鋳型とし、RT-PCRを行うことにより哺乳動物のRARに相同性の高いDNA断片を得た。さらに、5'-RACEと3'-RACEを組み合わせることにより、全長cDNAを得ることに成功した。得られたcDNAの塩基配列を決定し、推定されるアミノ酸配列を哺乳動物のRARと比較すると、DNA結合ドメインにおいて95%以上、リガンド結合ドメインで70%近い相同性が認められた。また、all-trans retinoic acid(以下ATRAと略す)を受容体内に保持するために必要なアミノ酸も全て保存されていた。そこで得られた遺伝子を大腸菌内で発現させ、精製したタンパク質を用いてATRAとの結合性を調べたが、結果は否定的であった。また、レチナール、レチノール、13-cisレチノイン酸、9-cisレチノイン酸なども結合しなかった。今回クローニングした遺伝子は哺乳動物のRARと非常に相同性が高いもかかわらず、哺乳動物RARのリガンドであるATRAとは結合しなかった。しかし、塩基配列上は明らかに哺乳動物RARの祖先遺伝子と考えられ、RAR遺伝子の進化を探る上で興味深い。今後、イボニシ抽出液などを用いてリガンドとなる物質の探索を進めることにより、シグナル分子としてのレチノイドの進化や軟体動物における生理作用が明らかになるものと期待される。
|
Research Products
(3 results)