2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による抗がん剤反応性関連タンパク質の解明とバイオマーカーへの応用
Project/Area Number |
21590176
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 小夜 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (90424134)
|
Keywords | 個別化医療 / 抗がん剤 / 薬剤反応性 / 個人差 / バイオマーカー / プロテオーム / オキサリプラチン / フルオロウラシル |
Research Abstract |
本研究では、抗がん剤反応性に関わるタンパク質の解明とバイオマーカーとしての臨床応用に向けた検討を行う。初年度(平成21年度)は、研究者が平成19~20年度 萌芽研究「抗癌剤感受性に関連するタンパク質(ペプチド)バイオマーカーの研究」において、ヒト大腸癌細胞より新規に見出したS100A10について、S100A10がオキサリプラチン(L-OHP)感受性に関して特異的なマーカー候補タンパク質であること、また、S100A10の発現量と結合パートナーであるannexinA2の発現量が強い相関を有することを見出した。 2年目(平成22年度)は、S100A10の抗がん剤感受性との関わりにつき機能解析を進めた。 1.薬剤曝露後の経時的変化についての検討:ヒト大腸がん細胞株(DLD-1)におけるL-OHPもしくは5-フルオロウラシル(5-FU)曝露時のS100A10の挙動を検討した結果、5-FU曝露時のS100A10はコントロール(薬剤非曝露時)と同様の挙動を示したのに対し、L-OHP曝露時にはコントロールに比し上昇する傾向を認め、S100A10がL-OHP曝露時の細胞内変化に関与することが示された。 2.RNA干渉によるノックダウン実験:S100A10高発現細胞株(HT29)において、siRNAを用いてS100A10、annexin A2各々を単独もしくは両者を同時にノックダウン(KD)した結果、annexin A2のKDによりannexin A2のみならずS100A10の発現も著しく減少しL-OHP曝露後の細胞生存率は低下傾向を示した。S100A10のKD、およびS100A10とannexin A2の同時KDによる細胞生存率への影響は本実験条件においては明確ではなかった。 今後は、S100A10の抗がん剤感受性との関わりについてさらに機能解析を進めるとともに、薬剤反応性診断マーカーとしての臨床応用に向けた基礎的検討を行う。
|
Research Products
(5 results)