2010 Fiscal Year Annual Research Report
多様な細胞内アクチン高次構造上でのミオシン滑り運動解析:レール特性と機能を探る
Project/Area Number |
21590270
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石川 良樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20212863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 彰男 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30282388)
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Keywords | アクチン / ミオシン |
Research Abstract |
モーター蛋白質ミオシンは、アクチン線維をレールとして滑り運動を行い、細胞における主要な力発生源となっている。アクチン線維は細胞内で、ストレスファイバー、接着斑、フィロポディア、ラメリポディア、膜裏打ち等、様々な高次構造複合体を取る。現在、「裸状態のアクチン線維」とミオシンとの滑り運動の解析は盛んであるが、「高次構造複合体」とミオシンとの直接的な解析は報告されていない。そこで本研究では、細胞内に存在するアクチン系細胞骨格をミオシンのレールと捉え、それぞれのアクチン高次構造複合体とミオシンとの滑り運動を観察し、レールとしての特性及び機能を探ることを目的とする。我々は以前、神経特異的アクチン結合タンパク質ドレブリンがミオシンII、ミオシンV活性を阻害することを報告して来たが、本年度は、この阻害効果のより詳細な解析を行なった。ミオシンVは、ドレブリンを結合させたアクチン線維上を、裸のアクチン線維と同じ滑り速度で滑走したが、結合してから遊離するまでの走行距離&時間は短かった。またドレブリンは、ADP-Pi状態の前足頭部のアクチンへの結合が抑制されたが、後足頭部のADP遊離には影響を与えなかった。以上の結果は、ドレブリンで飽和したアクチン線維上では、ミオシンVはアクチンへの結合親和性だけではなく、ATP分解サイクルも変化を受け、その結果ミオシン滑り運動が阻害されていると示唆される。ドレブリンは神経成長円錐の辺縁部と中心部の境界の静的なアクチン線維上に局在しているが、このアクチンレールがミオシン活性を阻害することによってこのような振る舞いをしている可能性が高いと思われる。
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