2009 Fiscal Year Annual Research Report
生薬を主に用いた炎症疾患に対する新しい治療戦略の構築
Project/Area Number |
21590278
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 和博 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 寄附講座准教授 (60432275)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 貴文 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80378041)
後藤 秀実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10215501)
|
Keywords | マクロファージ / 炎症 / 生薬 / lipopolysaccharide / サイトカイン |
Research Abstract |
Lipopolysaccharide (LPS)で活性化したマクロファージに対して特異的に細胞死を誘導する Dehydrocorydalineの有用性をマウスで検討した。LPSを投与したマウス(最も簡単な敗血症のモデル)は衰弱するとともに体重減少を認めるが、DehydrocorydalineをLPSと同時に投与すると1.2-4.8μmol/kgの範囲で投与量依存的にその体重減少が改善された。In vitroの実験でDehydrocorydalineはLPSにより活性化したマクロファージからのIL-6産生を抑制することが分かっていたが、マウスにおいてもLPSによるIL-6血漿濃度の上昇はDehydrocorydaline投与により抑制されることが分かった。一方、単独でDehydrocorydalineを投与した場合、治療効果が得られる濃度を超える9.6μmol/kgでも体重減少・肝障害・腎障害のいずれも認められなかった。以上から、Dehydrocorydalineの投与は活性化マクロファージが病態に関与する敗血症の治療に有用であることが示唆された。この結果は活性化マクロファージ特異的細胞死誘導という戦略が敗血症のような活性化マクロファージが病態に関与する疾患の治療に有効であるという可能性を示している。敗血症以外にも炎症性腸疾患などの自己免疫が関与する疾患においては活性化マクロファージが病態に関与していることが知られている。今後はこうした疾患におけるDehydrocorydalineの治療効果を検討していく。 また治療に有用な生薬のスクリーニングを更に進める上で利用することが可能な新たな腸炎の蛍光観察法も開発した。
|
Research Products
(5 results)