2010 Fiscal Year Annual Research Report
生薬を主に用いた炎症疾患に対する新しい治療戦略の構築
Project/Area Number |
21590278
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 和博 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座准教授 (60432275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 貴文 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80378041)
後藤 秀実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10215501)
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Keywords | マクロファージ / 炎症 / 生薬 / lipopolysaccharide / サイトカイン / 腸炎 |
Research Abstract |
Lipopolysaccharide(LPS)で活性化したマクロファージ特異的に細胞死を誘導するDehydrocorydalineは活性化マクロファージでのミトコンドリア膜電位上昇を抑えることで作用を発揮する。腸炎マウスモデルでDehydrocorydalineの有用性を検討するに先立ち、腸炎におけるマクロファージのミトコンドリア膜電位上昇を評価した。その結果、TNBS腸炎、DSS腸炎そしてIL-10欠損マウスでの腸炎、いずれにおいてもミトコンドリア膜電位上昇を認めなかった。腸炎におけるマクロファージの活性化はLPSで刺激した場合に比べて弱い可能性があり、また"活性化マクロファージでのミトコンドリア膜電位上昇"をターゲットとした炎症疾患に対する新しい治療戦略は適応範囲が限定的であるかもしれないことを考慮する必要がある。 一方、腸炎に関する研究を支援するため"腸炎を誘発するハプテン-タンパク複合体を特異的に可視化できる腸炎モデル"を新たに開発し、論文として公表した。これまでTNBSやoxazoloneは注腸すると腸管粘膜内でタンパクと結合しハプテン-タンパク複合体となり腸炎を誘発するとされてきたが、ハプテン-タンパク複合体を特異的に観察する方法がなかった。したがって、腸炎を誘発する過程は仮説に過ぎず、またハプテン-タンパク複合体がどのように腸炎を誘発していくかを詳細に検討することはできなった。我々はハプテンであり、かつタンパクと結合した場合に蛍光を発生するNBD-C1を用いてハプテン-タンパク複合体を特異的に蛍光観察することができる腸炎モデルを開発した。このモデルを用いて腸管粘膜内に形成されたハプテン-タンパク複合体の周囲にマクロファージが浸潤し、ハプテン-タンパク複合体はマクロファージに取り込まれ、そのマクロファージがT細胞を活性化することにより腸炎を誘発することを証明した。
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Research Products
(4 results)