2009 Fiscal Year Annual Research Report
アンチエイジングの受容体薬理ゲノミクス解明による創薬研究
Project/Area Number |
21590289
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
輿水 崇鏡 Jichi Medical University, 医学部, 准教授 (20392491)
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Keywords | バゾプレッシン / リポフスチン / 副腎皮質 / ノックアウトマウス / 受容体 / ステロイドホルモン |
Research Abstract |
ステロイドホルモンの作用は多岐に渡り副腎皮質機能不全症あるいは亢進症の影響は全身性及ぶ。最近では本態性高血圧症と思われていた患者の中にサブクリニカルな副腎皮質機能亢進症が存在することが明らかになっている。しかし機能亢進とは反対に、副腎皮質の予備能のみが低下した場合の病態についての詳細は未だ明らかにされていない。 一方バゾプレッシンが作用する3種類のサブタイプ受容体は体内に広く分布しバゾプレッシンの多様な機能の発現を司る。本研究ではVla受容体遺伝子を特異的に欠失させた遺伝子改変マウス(Vla-/-)を用い、これまで明らかにされていなかった副腎皮質細胞の加齢色素沈着におけるVla受容体の役割を解明する。本年度は細胞並びに動物個体での検討を進め以下の成果を得た。 副腎由来細胞株でのVasopressinの作用;Y1細胞をACTHとVasopressin(100nM)の存在化で刺激するとACTH単独よりもステロイドホルモンの分泌が亢進することが示された。この亢進は3時間後には有意な上昇となり6時間まで持続した。発現解析によりこの細胞にはVla受容体が発現し、他のバゾプレッシンファミリー受容体であるVlb,V2,ごキシトシン受容体は存在しないことが示された。よって副腎皮質細胞に存在するVla受容体は単独で、或はMC2メフノコルチン受容体と共同で糖質ステロイドの分泌を亢進させる能力を有することが明らかとなった。 Vla遺伝子ノックアウトによる副腎皮質ホルモン分泌能の変化;細胞レベルでのVlaの役割を個体レベルで評価するためノックアウトマウスの副腎皮質ホルモン分泌機能について解析した。血中Atrial natriuretic polypeptide濃度はVla-/-マウスでは基礎値が有意に低下していた。副腎皮質組織像の観察では、副腎皮質の3層構造(顆粒層、束状層、網状層)、特に束状層と網状層の境界が不鮮明となり、糖質ステロイドホルモンの分泌がACTH刺激時に低下する原因の一つと考えられた。以上の如く、細胞と個体レベルで加齢色素沈着の機序を解明する基盤の構築に成功した。
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