2010 Fiscal Year Annual Research Report
STAT3複合体とキナーゼによる転写伸長制御機序の解明と応用
Project/Area Number |
21590317
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中嶋 弘一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00227787)
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Keywords | STAT3 / 転写制御機序 / 転写伸長 / CTDキナーゼ / STAT3修飾 |
Research Abstract |
STAT3は、IL-6などのサイトカインや増殖因子刺激により活性化されるチロシンキナーゼによりY705にリン酸化を受けることで、2量体を形成し、核移行を経てDNA上の結合部位に結合し転写の活性化に働く。1)STAT3ではSer727リン酸化やそれにつづく修飾が転写制御に役割を持つことから、今回Ser727の役割をノックダウン細胞にSTAT3を戻す再構成系を用いて検討した。S727A変異体による転写活性の強さは野生型に比べ約1/2程度であったが、野生型よりも転写活性が持続した。この機序として、STAT3 Ser727変異体は野生型に比べ、JAK阻害後もY705チロシンリン酸化が持続し、Ser727リン酸化とそれにつづく何らかの修飾がチロシン脱リン酸化酵素TC45のリクルートメントと作用に重要であることを見いだした(論文準備中)。2)STAT3依存的転写とNF_κB依存的転写におけるCTDキナーゼの役割の検討。pTEFbを構成するCDK9を10%まで低下させても、HepG2細胞の増殖は維持され、ほとんどのSTAT3依存的転写は低下しなかったことから、CDK9に加えてCDK12, CDK13, CDK11の役割を解析することにした。NF_κB依存的なSAA1転写には、CDK9とCDK12は、それぞれ役割を持っていたが、STAT3依存的活性にはいずれかもしくは両者のノックダウンでも影響を受けなかった。今年度は、これらキナーゼの役割の詳細を明らかにする。また、STAT3依存的転写にNLK、PI3K、ERKが役割をもつという結果を得ており、今後、これらキナーゼと新規CTDキナーゼがH2Aユビキチンの制御やスーパーエロンゲーション複合体などの活性などに作用するのか検討する。
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Research Products
(2 results)