2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺嚢胞および肺癌発生に関する新たな分子病理学的解析:BHD遺伝子の果たす役割
Project/Area Number |
21590365
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中谷 行雄 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (20137037)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 充子 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10361445)
山口 淳 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (00314336)
廣島 健三 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (80218833)
|
Keywords | Birt-Hogg-Dube症候群 / フォリキュリン / 肺嚢胞 / 気胸 / mTOR経路 / AMPK経路 |
Research Abstract |
1.これまで3家系のBHD症候群疑い症例における遺伝子解析を施行し,exon11-12における変異を同定した.同意の得られた家族の遺伝子解析も施行し,優性遺伝を証明した例も含まれている.いずれの症例も2-8塩基で構成されるコドンリピート部分のリピート回数異常から変異が生じていた.組織学的には気胸症例の嚢胞部では,いずれも,有意な炎症反応を欠き,間質増生も目立たない嚢胞壁で,肺胞細胞の裏打ちがある上皮性嚢胞が形成され,また嚢胞は常に小葉間隔壁や胸膜と密着しており,発生に間質組織との相互作用の重要性が示唆された(Koga S, et al Pathol Int 2009).免疫染色による検討ではBHD遺伝子のコードするたんぱく質folliculin(FLCN)の発現は患者群で明らかな低下は認められず,病変部での局在でも染色性は保持されていた.この結果から,患者肺組織ではFLCNの完全消失ではなく,不完全なFLCNの機能異常による嚢胞発生が示唆された. 2.HEK293細胞 テトラサイクリン誘導性BHD強制発現系を樹立した.ウエスタン・ブロッティングで、tetracycline(1ug/ml)投与時にのみ発現する約65kDのBHDタンパク質を確認した.BHD強制発現が細胞増殖に及ぼす影響を細胞増殖アッセイ(DOJINDO, Cell Counting Kit-8)を用いて解析した。しかし、BHD強制発現時、HEK293細胞の増殖に変化を認めなかった.BHDの機能としてAMPK経路、mTOR経路との関連が示唆されている。我々のこれまでの結果では、抗AMPK抗体と抗ERK抗体によるウエスタン・ブロッティングで、BHDの強制発現で、AMPK,ERKの活性が軽度変化している予備結果を得た.
|