2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺嚢胞および肺癌発生に関する新たな分子病理学的解析:BHD遺伝子の果たす役割
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21590365
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中谷 行雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20137037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 充子 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10361445)
山口 淳 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (00314336)
廣島 健三 東京女子医科大学, 八千代医療センター, 教授 (80218833)
坂入 祐一 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (30551949)
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Keywords | Birt-Hogg-Dube症候群 / フォリキュリン / 肺嚢胞 / 気胸 / mTOR経路 |
Research Abstract |
1.10家系のBirt-Hogg-Dube(BHD)症候群患者12名の肺について臨床病理学的に検討した。肺嚢胞の組織学的、免疫組織化学的、分子病理学検索を行い、BHD症候群関連肺嚢胞の特徴として、1)小葉間隔壁や臓側胸膜と密接な関連を有して発達する、肺胞上皮に内腔面を覆われた嚢胞である、2)時に内部に複数の肺胞腔様構造を形成する、3)嚢胞上皮や嚢胞近傍肺胞上皮にmTOR経路の活性化を示唆するphospho-S6リボソームタンパクの発現を認めるが、フォリキュリンの発現は保たれている、4)嚢胞壁の線維性肥厚や嚢胞腔の複雑化、ブラないしブラ様変化を二次性変化として認める、を明らかにした。また、フォリキュリン遺伝子変異として、エクソン5,11-14、イントロン5に新規変異を含む7種類の変異を認めた。(Furuya M et al.Am J Surg Pathol 2012;36:589-600)。また、BHD症候群関連肺嚢胞で切除された肺組織の1例についてwestern blottingを施行し、正常肺に比してp-mTOR,p-S6,p-Akt,HIF-1α,VEGFの発現亢進を認めた.以上の結果はBHD症候群肺嚢胞がフォリキュリンのhaploinsufficiencyによるmTOR経路の緩徐な活性化に関連して発達する過誤腫様の嚢胞状肺胞形成であるという仮説を支持するものと考えられる。 2.BHD症候群腎腫瘍母娘例について腎腫瘍の組織学的検索と遺伝子変異検索した。それぞれ分類不能型腎腫瘍とhybrid oncocytoma/chromophobe renal cell carcinomaであり、新規生殖細胞系列遺伝子変異、エクソン5の18塩基欠失(c.332_349del/p.H111_Q116del)を認めた(Nagashima Y et al.Int J Urol 2012;19:468-470)。 3.BHD症候群肺嚢胞患者で肺腺癌を合併した1症例について、腫瘍部分のmicrodissectionを施行してフォリキュリン遺伝子のLOHを解析したがLOHは認めなかった。
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Research Products
(5 results)