2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌の進展における不完全な上皮-間葉移行現象とその分子機構
Project/Area Number |
21590368
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉田 利通 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80166959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 典子 (花村 典子) 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (60437100)
下條 尚志 三重大学, 医学部, 技術員 (70410751)
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Keywords | 乳癌 / 上皮間葉移行 / テネイシン-C |
Research Abstract |
Tenascin-C(TN-C)は乳癌で高発現し浸潤性を高めるとされている。上皮間葉移行(EMT)は癌浸潤の形質変化として重要である。本研究ではTN-C及びTGF-β1のEMTへの関与について検討している。乳癌細胞株MCF-7をTN-C/TGF-β1刺激下で培養し、蛍光抗体法、western blottingを行い、形態的変化とE-cadherinとβ-cateninの局在を観察した。Focal adhesion kinase(FAK), SRCとTN-Cレセプタであるintegrin αvβ6との関与について検討を行った。TN-添加でEMT様の形態変化とE-cadherinとβ-cateninの細胞質内移行、TGF-β1/TN-C刺激下ではより強いEMT変化とβ-cateninの核移行が認められた。EMT様変化に伴いintegrin αvβ6が動員され、同陽性接着斑の増加とその部位でのSRC Y418,FAK Y861,Y925のリン酸化の亢進が認められた。integrin αvに対する機能中和抗体やSRC kinase阻害薬の添加はEMT様変化を阻害したが、αvβ6の中和抗体やintegrin β6のノックダウンは阻害しなかった。TN-Cは乳癌細胞のEMT様形態的変化(不完全なEMT)を誘導し、SRCとFAKの活性化が分子機構として働くと考えられた。この変化はintegrin αvβ6の発現増加を伴ったが、この現象に不可欠なものではなかった。さらに、FAKとSRCの活性化を引き起こす分子機構とこれに伴う発現分子の変化について、来年度以降に研究を行う。
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