2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590399
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
東 美智代 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (60315405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 傑 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175002)
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Keywords | 病理学 / 膵胆道腫瘍 / ムチン抗原 / 予後因子 / MUC1 / MUC2 / MUC4 |
Research Abstract |
我々は、難治性癌である膵癌ならびに胆管癌において、癌の生物学的悪性度とムチン抗原発現が密接に関連していることを報告してきた。また培養癌細胞を用いて、各種のムチン発現を調節しているのが、プロモーター領域のCpG領域のメチル化状態あるいはヒストンH3-K9のアセチル化状態によって規定されていることを明らかにしてきた。昨年度は、膵胆管系腫瘍患者から膵嚢胞性病変の嚢胞内容液5例、胆汁は約15例採取しえた。これらの臨床材料から、mRNA、DNA抽出を行い、主にMUC1,MUC2,MUC4のメチル化状態の解析等を行った。また手術材料から得られた組織標本の免疫染色も行った。胆汁を用いた解析では、通常の浸潤癌の存在範囲とDNAのメチル化状態はよく相関していた。すなわち、癌細胞が直接接する部位からえられた胆汁では、MUC1、MUC4のプロモーター領域での脱メチル化が認められ、腫瘍組織でのMUC1,MUC4ムチンの過剰発現を裏打ちするエピジェネティクスな結果が得られた。一方、MUC2でのプロモーター領域ではメチル化が認められており、腫瘍組織では発現が認められないこととよく相関していた。以上の結果から、胆汁を用いて癌の質的判断を行いうる可能性が示唆された。膵液では症例数が少ないため、確定的なことはいえず、引き続き検体を採取していく必要があった。一方、通常の組織標本は免疫染色のみでなく、「マイクロディセクション・システム」を用いて、MUC2ムチン発現陽性細胞と陰性細胞でのMUC2 DNAメチル化の状態の検討を行った。対象は、膵管内乳頭粘液性腫瘍であったが、膵液等の検討と矛盾する結果であった。その原因として、固定液や固定時間による影響、パラフィン包埋による影響等、複数の要因が考えられた。そのため、まず培養癌細胞を用い、それらの影響を検討していくことにした。
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Research Products
(14 results)