2009 Fiscal Year Annual Research Report
コネキシン32により誘導される癌幹細胞の増加とそれに伴う転移能亢進の証明
Project/Area Number |
21590427
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大森 泰文 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90323138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 祐司 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90208166)
吉岡 年明 秋田大学, 医学部, 助教 (80302264)
榎本 克彦 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20151988)
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Keywords | 腫瘍 / 癌幹細胞 / コネキシン / Tet-offシステム / side poulation |
Research Abstract |
肝細胞癌(HCC)の悪性度が高まるにつれ、本来細胞膜に発現するコネキシン32(Cx32)が細胞質内に局在することが知られている。このような細胞質内のCx32が癌幹細胞(CSC)の数を制御する因子の1つであることを明らかにすることを目的に以下の研究を行った。まず、ヒトHCC由来の細胞株HuH7に対して、doxycycline(Dox)の有無でCx32の発現を制御できるシステム(HuH7 Tet-off Cx32)を作製した。HuH7は内因性のCx32を発現しているが、HCC由来であるためにCx32が細胞膜でギャップ結合を形成することはなく、細胞質内に局在していた。in vutro実験の際には、4μg/ml Doxを培地に添加することで外来性Cx32の発現を抑え内因性Cx32のみの発現を維持するが、Doxを含まない通常の培地に変えることによりCx32をほぼ5倍まで過剰発現させることができた。CSCの表現型の1つとして、side population(SP)と呼ばれる、Hoechst 33342蛍光色素の排出が亢進しこの色素に染まらない細胞集団の形成が知られている。そこで、HuH7 Tet-off Cx32細胞をDoxの存在下もしくは非存在下で培養、細胞回収後に生細胞をHoechst 33342で染色し、fluorescence-activated cell sorting (FACS)でSPの割合を測定したところ、Dox非添加群すなわちCx32の過剰発現を誘導した際に、SPが増加することが確認された。さらに、HuH7 Tet-off Cx32細胞のSP画分とnon-SP画分をFACSにて分取し、免疫不全マウスの皮下に移植したところ、SP画分のみが腫瘍を形成した。したがって、HCCの悪性度に比例して発現量を増す細胞質内Cx32は、CSCの数を制御する因子であることが明らかとなった。
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