2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌幹細胞におけるp53誘導型細胞死耐性とその制御機構
Project/Area Number |
21590438
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
高橋 玲 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (60144565)
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Keywords | 遺伝子 / バイオテクノロジー / 病理学 / 癌 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本研究では、ヒト乳癌細胞集団において、A : p53発現誘導による細胞死に感受性を示さない少数の細胞(p53誘導型細胞死耐性群)、B:細胞分化を示さず、すべての階層hierarchyを再構築できる少数の幹細胞(癌幹細胞群)の両方の性質で抽出された小細胞群を比較検討することによって、癌の再発のメカニズムを明らかにし、癌治療の新たな標的の特性を明らかにすることを目的としている。ヒト乳癌由来のHCC1937細胞にはドキシサイクリンで発現誘導できるp53遺伝子が安定的に導入されている。ドキシサイクリン投与で誘導されるp53発現亢進では、1週間後に約95%の細胞がアポトーシスで消失し、残り5%の細胞を用いてALDH1遺伝子を中心に解析した。RT-PCR法によるALDH1遺伝子のmRNA発現は対照細胞群に比べて亢進していた。発現増加のピークは48時間~72時間後であり、蛋白レベルでの発現に比べて早い段階で見られた。ALDH1蛋白の発現量は、抗ALDH1抗体を用いたFACS解析では増加したがALDEFLUORによる酵素活性をみると、明らかな亢進がみられなかった。ただし、ALDH1酵素活性陰性細胞群が陽性に変化することが明らかとなった。細胞形態の観察では、細胞の大きさから3つのグループに分類できるが、ドキシサイクリン1週間投与後では中間サイズの細胞が消失し、大型および小型細胞が残存していた。培養細胞を用いた免疫染色では、ALDH1陽性細胞が大型細胞を主体に集塊状に観察された。今後はこれらの結果を他の遺伝子発現との関連で詳細に解析を進める。
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Research Products
(7 results)