2010 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陽性病原菌のプロテインキナーゼを介するシグナル伝達系の解明
Project/Area Number |
21590482
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
成谷 宏文 香川大学, 医学部, 助教 (30452668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 茂 香川大学, 医学部, 講師 (90314913)
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Keywords | Clostridium perfringens / ガス壊疽菌 / シグナル伝達 / プロテインキナーゼ / プロテインボスファターゼ / In-Frame遺伝子欠損 |
Research Abstract |
グラム陽性病原菌に普遍的に存在するProtein Ser/Thr Kinase/Phosphatase (K/P)を介するシグナル伝達系の機能をClostridium perfringens(ガス壊疽菌)をモデル菌として解明する。野生株は3-5μmの桿菌であるが、PKオペロン欠損株は、生育に阻害がみられ、形状はへび状の長鎖を呈し、P欠損株では、コンマ状の短桿菌となった。更に、KをPK欠損株においてプラスミドで誘導発現させると、コンマ状の短桿菌に変化した。また、リン酸化抗体によるWestern blot解析により、Kのリン酸化基質タンパク質と考えられる約60-kDaのThr-リン酸化バンドを検出した。リン酸化タンパク質をAffinity Columnにて分画精製し、トリプシン消化産物のLC-MS/MS解析を行った結果、SはCPE1057と同定された。 欠損株(ΔS、ΔPKΔS、ΔPΔS)を作製し解析した結果、すべての株で60-kDリン酸化バンドが検出されず、形状はすべてコンマ型になった。ΔPΔSでSを誘導発現させると、リン酸化バンドの増加が検出された。Sのリン酸化部位は、欠損変異遺伝子の発現解析により、N末端領域に存在することが明らかとなった。またCPE1057ホモログは、Clostridium属のみに見いだされた。更にΔPKΔSにおいて、非リン酸化型Sの発現量を制御(少→多)すると、コンマ→正常→長鎖型へと変化した。しかし、ΔPΔSにおいては、Sがリン酸化されるため、その変化が大幅に軽減され、ほぼコンマ型であった。つまり、PSTK-PSTPによるCPE1057のリン酸化調節を介して、Clostridium属の菌の形態が制御されるものと考えられる。
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