2011 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陽性病原菌のプロテインキナーゼを介するシグナル伝達系の解明
Project/Area Number |
21590482
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
成谷 宏文 香川大学, 医学部, 助教 (30452668)
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Keywords | Clostridium perfringens / ガス壊疽菌 / シグナル伝達 / プロテインキナーゼ / プロテインホスファターゼ / In-Frame遺伝子欠損 / 形態形成 / 多様性 |
Research Abstract |
グラム陽性病原菌に普遍的に存在するProtein Ser/Thr Kinase-Phosphatase (K-P)を介するシグナル伝達系の機能をClostridium perfringens(ガス壊疽菌)をモデル菌として解明する。 ガス壊疽菌におけるIn-Frame遺伝子破壊株の作製法、遺伝子誘導発現系の確立と共に、Kのリン酸化基質タンパク質(S)の同定(CPE1057)に成功し、同遺伝子の変異株および発現解析から、シグナル伝達系による基質タンパク質のリン酸化調節により、同菌の形態が制御されることを明らかにしてきた。野生株を正常桿菌とすると、ΔPK(K非発現株)及びΔP(K発現株)はそれぞれ、長鎖桿菌及びコンマ状の短桿菌に変化する。また、非リン酸化型Sのレベルに依存し、上記の形態変化が起きる。 本年度は、Sの細胞内局在性をみるためGFP融合遺伝子を構築し、その発現解析を行った。基質タンパク質蛍光は、多くの場合、隔壁、両極に認められた。また、リン酸化及び非リン酸化基質タンパク質の局在性は同様である事が示唆された。更に長鎖桿菌でのDAPI蛍光観察の結果、明瞭な隔壁がほとんど認められないが、分配されたNucleoidをはさみ、SのGFP蛍光が観察された。 Sのリン酸化型、非リン酸型の精製標品をLC/MS/MS解析にかけ、リン酸化部位の決定を行い、リン酸化部位の候補を見いだした。現在、変異株の作製、解析を行っている。更に、それぞれに相互作用するタンパク質の同定、様々な環境における、ガス壊疽菌の形態と基質のリン酸化レベルの相関を検討している。 K-Pが普遍的に存在するのに対して、SがClostridium属のみに見いだされ、他のFirmicutes(グラム陽性菌)での研究で、各々異なるリン酸化基質タンパク質が同定されていることから、適応進化に応じたK-P制御の機能的多様性の存在が推定された。
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