2009 Fiscal Year Annual Research Report
外国人患者と医療者間におけるコミュニケーション・ギャップの実証的研究
Project/Area Number |
21590572
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
濱井 妙子 University of Shizuoka, 看護学部, 助教 (50295565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 文子 東京大学, 医学系研究科, 助教 (30315858)
山田 貴代 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (40453063)
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Keywords | 地域医療 / 外国人患者 / コミュニケーション・ギャップ / 在日ブラジル人 / 異文化コミュニケーション / 外国人医療 |
Research Abstract |
本年度は、地域の医療現場での外国人患者と医療者間におけるコミュニケーションの課題を明らかにすることを目的に、医師と薬剤師を対象に、外国人診療ならびに外国人服薬指導の現状調査を実施した。方法は、2010年2月から3月に、外国人が集住している静岡県西部地区郡部の医師会と薬剤師会の会員を対象に、郵送法質問紙調査(自記式)を実施した。質問紙の配布数と回答数(回収率)はそれぞれ、医師が1,453件、324件(22.3%)、薬剤師が1,370件、442件(32.3%)であった。外国人患者の診療/服薬指導の頻度は、ほぼ毎日・週に2~3回程度・週に1回程度をあわせると、医師は53.1%、薬剤師は43.1%であった。外国人の使用言語はポルトガル語が約8割で最も多く、次いで、英語、中国語であった。日本語ができない患者や家族への対応は、両者ともに患者が連れてくる通訳を利用している者が最も多かった。外国人患者との間でコミュニケーションがとれずにズレを感じたことがある者は、医師は48.4%、薬剤師は58.1%であった。一般医療面接におけるコミュニケーション態度(5段階尺度)では、医師20項目、薬剤師21項目における日本人患者と外国人患者の平均値を比較した。その結果、全ての項目において有意差が認められ、日本人と同じように外国人とコミュニケーションをとるのは難しい現状が明らかになった。日本人と外国人の平均値の差が大きい項目は、「患者に説明するときに理解できるようなことばを使っている(医・薬)」、「患者が公正な判断ができるように十分な情報を提供している(医・薬)」、「患者とどんな治療法を選ぶかを話し合って決めている(医)」、「患者に副作用のみつけ方を説明している(薬)」、「患者にどんな薬があっているかを患者と話し合っている(薬)」などが上位であった。平均値の差は、薬剤師の方が医師よりも大きい値を示した。また、約8割の医師と薬剤師はともに診療/服薬指導のプロセスでコミュニケーションの役割は非常に重要であると考えていることが明らかになった。現在、職種別にコミュニケーション・ギャップに関連する要因の分析を実施している。
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