2010 Fiscal Year Annual Research Report
医療IT化が医療システムの透明性・効率に及ぼす効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
21590716
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
長谷川 友紀 東邦大学, 医学部, 教授 (10198723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 邦愛 東邦大学, 医学部, 講師 (50288023)
北澤 健文 東邦大学, 医学部, 助教 (30453848)
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Keywords | 医療・福祉 / 社会医学 / 医療情報学 / 電子カルテ |
Research Abstract |
第二年度の研究は、官庁統計(患者調査・医療施設調査等)を用いた分析を行うとともに、電子カルテ・オーダーリングシステムを導入している全医療施設に対するアンケート調査を行った。また、国内関係機関における聞き取り調査も併せて行った。 官庁統計を用いた分析では、患者調査・医療施設調査を、施設番号を用いてリンクし、一般病床に入院する入院日数90日以内の患者を抜出しデータベースを作成した。このデータベースを用いて、まず電子カルテを導入している施設とそうでない施設が同一疾病同一手術で予後に差があるかを手術数の多い15疾患で比較した。結果、14疾患で有意な差は見られなかった。次に、在院日数に差があるか否かを、カプラン=マイヤー曲線の比較、COX比例ハザードモデルを用いて分析した。結果、電子カルテ導入施設の方が14疾患で有意に在院日数が短かった。この有意差は、性・年齢・副傷病数(重症度)・病床数で調整しても認められた。 アンケート調査では、1562施設にアンケート票を配布し、487施設から回答を得た。回答率は31.2%であった。2008年に行った同様の調査と比較して、IT技術導入の深化が進んでおり、2008年に31.1%であった完全ペーパーレス化は41.9%にまで進んでいた。また、電子カルテ導入による効果としては、6割前後の施設が、質の向上、効率化、情報共有・連携に効果があったとしていた。その一方、コストの削減や増収に効果があったと答えた施設は、それぞれ14.8%、6.2%と少なかった。 本年度行った官庁データを用いた実証研究では、IT化が効率に寄与することが実証された。実証研究としては大きな意義があるものと考えられる。
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