2011 Fiscal Year Annual Research Report
医師の態度と患者効用値に注目した糖尿病治療判断における行動科学的検討
Project/Area Number |
21590761
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小泉 順二 金沢大学, 附属病院, 教授 (20161846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾山 治 北陸大学, 薬学部, 教授 (50452107)
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Keywords | 治療判断 / 患者の選考 / 教育スタイル / セルフ・エフィカシー / 勤務医 / 個人診療所医師 / 看護師 |
Research Abstract |
慢性疾患患者の診療において、医療者と患者の相互の思いを共有する治療判断を行うために、糖尿病患者教育スタイル、セルフ・エフィカシー、患者の効用値等について検討している。今回は糖尿病診療を行っている勤務医に多崎らが開発した糖尿病教育スタイル自己評価質問票および一般性自己効力感尺度(GSES)質問票を郵送し、31名より回収した。その結果、糖尿病診療を行っている勤務医は以前に行った個人診療所医師より若く、患者教育において看護師と同様に生活心情がみえている教育スタイルを意識していることが示唆された。また、その傾向は専門医取得医師で強く、知識を提供するだけでなく患者の生活心情を考慮する診療への移行が考えられた。 また、教育スタイルとセルフ・エフィカシーの関係の検討では、「生活心情がみえている教育スタイル」の得点とGSESの得点では有意な相関は認められなかったが、GSESを「行動の積極性」「失敗に対する不安」「能力の社会的位置づけ」の3因子に分けて検討すると、「行動の積極性」と有意な相関が認められた。また、GSES得点は勤務医、個人診療所医師、看護師で有意差を認め、勤務医で最も高く、個人診療所医師と看護師は同程度であった。GSESの下位3因子における3群間の検討では、「能力の社会的位置づけ」において看護師が低い得点であった。 糖尿病診療においては医療者側では多職種協働が重視され、患者側では患者の考えや思い(選好)が医療者と共有されることが望まれている。これまでの検討では、医師・看護師における患者教育スタイルやそれに関連すると思われる自己効力感などは、職種、診療形態により異なっている。これらの医療者の態度には、医療者がこれまで受けてきた教育やキャリアーが影響していると考えられた。患者を含めた協働による治療方針の決定のためには医学的事柄のみでなく、患者の考えや思いを取り入れた治療方針決定の原理を探求する必要があると考えられた。
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