2009 Fiscal Year Annual Research Report
腹部症状発現の分子メカニズムの解明-神経炎症と粘膜透過症の食道症状への関わり-
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21590799
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
三輪 洋人 Hyogo College of Medicine, 医学部, 教授 (80190833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 忠之 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00381814)
櫻井 淳 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30528998)
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Keywords | 逆流性食道炎 / ニューロキニン / サブスタンスP |
Research Abstract |
胃食道酸逆流によって引き起こされる内臓痛や不快感などの症状に対する動物モデルでの評価報告はこれまで全くない。今回われわれは、まず新たにラット慢性酸型逆流性食道炎モデルでの食道酸逆流による症状の評価系の一つとして、ラットの自発行動量を用いた評価が慢性の内臓症状の指標となるのではないかとの仮説をたて検討した。慢性酸型逆流性食道炎を作製したラットの食道粘膜非損傷部位において、粘膜上皮細胞間隙の拡大像が観察された。タイトジャンクション蛋白質の発現レベルも食道粘膜非損傷部位において低下していた。慢性酸型逆流性食道炎惹起後、早期より自発行動量の低下が観察され、酸分泌抑制薬であるオメプラゾールは、自発行動量と食道粘膜損傷面積を有意に改善した。自発行動量の測定は、食道酸逆流によって引き起こされる症状を評価する系として利用できると考えられた。 またこれまでこの症状メカニズムに関与する因子の検討はまったくなされていないことから、われわれはこのモデルを用いて疼痛関連受容体(ニューロキニン-1)と神経ペプチド(タキキニン-1)の関与を検討した。慢性酸型逆流性食道炎ラットで、術後10日に有意にびらんを認めた。術後10日の食道粘膜でびらん部と非びらん部に関わらずニューロキニン-1受容体の発現は有意に増加していた。タキキニン-1のmRNA発現は非びらん部で有意に上昇していた。慢性酸型逆流性食道炎ラットで、自発運動量は有意に減少した。ニューロキニン-1受容体拮抗剤:L732, 138の投与により自発運動量の減少は有意に抑制された。以上から逆流性食道炎の腹部症状発現にはNK-1受容体とその関連神経ペプチドの関与が考えられた。今後はこの受容体の発現局在などを検討する予定である。
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[Journal Article] Rikkunshito, a traditional Japanese medicine, may relieve abdominal symptoms in rats with experimental esophagitis by improving the barrier function of epithelial cells in esophageal mucosa.2010
Author(s)
Miwa H, Koseki J, Oshima T, Kondo T, Tomita T, Watari J, Matsumoto T, Hattori T, Kubota K, Iizuka S
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Journal Title
J Gastroenterol. 45
Pages: 478-487
Peer Reviewed
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