2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍由来エクソゾーム中のマイクロRNAの機能解析と消化器癌診断への応用
Project/Area Number |
21590816
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 英司 九州大学, 大学病院, 講師 (00315475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤司 浩一 九州大学, 医学研究院, 教授 (80380385)
新納 宏昭 九州大学, 大学病院, 助教 (20380636)
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Keywords | エクソゾーム / 消化器癌 / マイクロRNA |
Research Abstract |
【研究の目的】ヒト末梢血中に存在するエクソゾームは生体内の様々な細胞から放出されたものであり、その小胞内には親細胞由来のRNAが含まれている。悪性腫瘍患者の末梢血エクソゾームには腫瘍由来のRNAが含まれているが、これらの生物学的意義や診断・治療への応用可能性は未だ明らかでない。 【研究計画とその結果】我々はヒト末梢血単核球、ヒト腫瘍細胞株から放出されるエクソゾームをELISAによって定量する方法を確立した。またこれらの細胞培養液、ヒト血清からエクソゾームを超遠心法により調整し、各検体からのエクソゾームよりmRNAおよびマイクロRNAを効率良く精製することが可能となった。エクソゾームに含まれる個別のmRNA、マイクロRNAはReal time-PCR法により定量、確認した。健常人血清と大腸癌患者血清よりそれぞれエクソゾームを調整し、マイクロRNAの発現プロファイルをmiRNAアレイにより網羅的に比較した。その結果、大腸癌患者血清エクソゾームに特異的に多く含まれるマイクロRNAを複数同定した(miRNA-CRCs)。これらの発現量は、別に調整した検体によるReal time-PCR測定により確認した。この大腸癌に特異的なマイクロRNA(miRNA-CRCs)を高発現するヒト腫瘍細胞株を樹立し、これより大量のエクソゾームを調整することに成功した。miRNA-CRCsを含むエクソゾームを、腫瘍微小環境を構成する細胞に添加した場合、これらの受け手細胞においてmiRNA-CRCsはその標的遺伝子の発現を抑制する機能を果たした。これは、腫瘍由来エクソゾームの含むマイクロRNAの新たな機能を示唆するものである。
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Research Products
(2 results)