2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590841
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20397699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70335355)
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Keywords | 肝癌 / 癌幹細胞 / 癌免疫 |
Research Abstract |
これまで肝細胞癌(HCC)の癌幹細胞のマーカーであるCD133陽性細胞は、その生存に有利な生物学的特性があることを明らかにしてきた。本年度は、HCCのニッチに関する検討と、HCCの産生するα-fetoprotein (AFP)の先天免疫制御に関する検討を行った。HCC関連ニッチの中で、本研究ではFGF-2に注目した。FGF-2の発現は正常では認めなったが、慢性肝炎では強く認め、肝硬変、HCCと病態が進展するにつれてFGF-2の発現は低下した。FGF-2添加によりHepG2及びPLC/PRF/5細胞上のNK活性化分子MICAの発現は有意に増加し、FGF-2の添加によりNK細胞の細胞傷害活性が亢進した。HCC発癌前後の血清FGF-2濃度は有意に発癌後低下していた。肝硬変患者84例をFGF-2濃度高値群(>1.8pg/ml、40例)と低値群(≦1.8pg/ml、44例)に分けると、FGF-2低値群では高値群に比してHCC発癌率が有意に高かった。以上の結果よりFGF-2が新たなHCCに対するリスクを予想するマーカーとなる可能性が示唆された。HCCの腫瘍マーカーであるAFPは、慢性肝炎・肝硬変でもしばしば高値を認め、AFP高値の肝硬変患者群は、発癌率が高いとの報告もある。本研究ではAFPのNK細胞活性に対する影響を検討した。NK細胞はAFP添加のみでは、その細胞傷害活性に変化は認めなかったが、AFP存在下でDCとNK細胞を共培養した場合、NK細胞の細胞傷害活性は、有意に低下した。AFP添加DCにIL-12を加えてNK細胞と共培養すると、NK細胞の細胞傷害活性は回復した。HCC59症例をAFP高値群(AFP≧100ng/ml)とAFP低値(AFP<100ng/ml)に分けてNK細胞のNKG2D発現を比較すると、AFP高値群ではAFP低値群に比してNKG2Dの発現が有意に低下していた。以上の結果は慢性肝疾患におけるAFP産生がNK細胞活性を抑制することで、肝発癌に有利な環境を作る可能性が示唆された。
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Research Products
(26 results)