2009 Fiscal Year Annual Research Report
COPDにおける全身性炎症の解析-喫煙が脂肪組織に誘導する炎症性反応について
Project/Area Number |
21590962
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
笠原 靖紀 Chiba University, 医学部附属病院, 講師 (60343092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂尾 誠一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80431740)
巽 浩一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10207061)
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Keywords | 炎症 / たばこ / 慢性閉塞性肺疾患 / 環境 |
Research Abstract |
喫煙と肥満はともに、動脈硬化の主なリスクファクターである。脂肪組織は様々なサイトカインを分泌し、肥満時にマクロファージの集積を伴った炎症性変化が生じていることが明らかとなってきている。一方、喫煙は肺組織や血管に酸化ストレスや炎症性変化を引き起こすと考えられているが、脂肪組織に与える影響についての検討は少ない。喫煙曝露が代謝に与える影響を考慮し、脂肪量の変化が少ないと考えられる短期間での喫煙曝露実験を行い、喫煙曝露が脂肪組織自体に与える直接的な影響について検討した。8週齢C57BL/6Jマウスを喫煙群とコントロール群の2群に分けた。喫煙群には喫煙曝露装置を用いて、20本/日、週6日の喫煙曝露を2週間行った。実験終了後、精巣上体付属脂肪組織を摘出し、マクロファージのマーカーである抗F4/80抗体を用いて組織学的検討を行うとともに、脂肪細胞およびマクロファージのマーカーであるCD11b陽性細胞を分離し、各々の細胞でのサイトカインの遺伝子発現をreal-time PCR法にて検討した。また血漿中のサイトカイン濃度を測定した。喫煙群とコントロール群では、体重、精巣上体付属脂肪組織の重量に差を認めず、組織学的に検討した脂肪細胞の大きさにも差を認めなかった。しかし、喫煙群ではコントロール群と比較し脂肪細胞中のMCP-1 mRNA発現が亢進し、脂肪組織中にF4/80陽性細胞が増加していた。MCP-1、TNF-α、アディポネクチンの血漿濃度に差は認められなかった。喫煙曝露により、脂肪細胞中のMCP-1mRNA発現が亢進し、脂肪組織中へのマクロファージの集積が認められた。喫煙曝露は、脂肪組織への炎症性変化を誘導する可能性があると考えられた。
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