2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病から腎不全に至る不可逆的形質変化の分子機構解明
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21591033
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安部 秀斉 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (60399342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 治彦 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60402830)
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Keywords | Sox9 / Smad1 / BMP4 / 軟骨細胞様形質変化 / 不可逆的腎機能低下 |
Research Abstract |
異なった原因の腎疾患が最終的には糸球体硬化という共通のプロセスに至り、不可逆的に腎不全へ進行し、透析治療を要するに至るという過程を分子レベルで明らかにするために、糸球体構成細胞が不可逆的な形質変化をきたすことを見出してきた。(1)軟骨細胞の形質を有するうえで必須のマスター遺伝子Sox9の活性化にBMP4がもっとも重要であることを確認した。高インスリン血症や高リン血症は特に腎機能低下患者で認めやすく、骨・軟骨関連分子群の発現の誘導が腎機能低下に特徴的な変化であることを明らかにした。(2)STZマウス・ネフローゼマウスを作成し、腎組織・血液・尿などのサンプルを解析した。Sox9誘導に重要なBMP4は血中・尿中でともに有意に増加しており、糸球体内のBMP4の発現の増加と平行していた。さらに、BMP4に特異的な中和抗体を作成し、上記モデルマウスに投与すると、組織の硬化性変化の進展が抑制され、糸球体内のSox9の発現もまた抑制されており、新たな治療のアプローチとして、手がかりが得られた。(3)BMP4およびSmad1コンディショナルトランスジェニックマウスの糸球体病変の定量的な解析を行った。糸球体内のBMP4の発現量は、活性型Smad1の発現量・Sox9の発現量・尿中BMP4分泌量と高い相関を示し、間葉系細胞由来の糸球体構成細胞が最終的に骨芽・軟骨細胞様形質変化をきたす機序では、BMP4が最上位でその変化を規定していることがあきらかになった。また、尿中BMP4の測定は糸球体構成細胞の骨芽・軟骨細胞様形質変化を反映するバイオマーカーになりうることが示された。(4)硬化が著明なiNOSトランスジェニックマウスでは、末期腎不全の進行に伴い、糸球体毛細血管が閉塞により血流不全をきたし、hypoxiaの状態にあった。Sox9はもともと軟骨というavascularな環境に適応する形質を司どっており、硬化部位に一致して発現が増強するSox9は、糸球体のhypoxic stressに反応して発現誘導されてきたことが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)