2009 Fiscal Year Annual Research Report
レプチンを用いた新しいメタボリックシンドローム治療法の開発
Project/Area Number |
21591175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
海老原 健 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (70362514)
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Keywords | 脂肪 / 糖尿病 / 脂肪萎縮症 / セイピン / レプチン |
Research Abstract |
(1)レプチン抵抗性動物における糖脂質代謝改善作用におけるアミリンの有用性の検討 血中レプチン濃度は体脂肪量に比例して上昇するが、肥満者では血中レプチン濃度が高値であるにもかかわらず肥満が是正されず、レプチン抵抗性の状態にあると考えられる。最近、食事誘導性肥満(DIO)ラットおよびヒト肥満者において、膵β細胞より分泌されるアミリンがレプチンの体重減少作用を回復させることが報告された。そこで今回、レプチンの糖脂質代謝改善作用についてもアミリンがレプチン抵抗性を解除するかどうかを検討した。レプチン抵抗性のDIOマウスにおいてレプチンあるいはアミリンの単独投与では糖脂質代謝の改善は観察されなかった。一方、レプチンとアミリンの共投与において明らかな糖脂質代謝の改善が認められた。膵β細胞機能が保たれた状態ではアミリンは糖代謝改善作用を示さないことから、レプチンの糖脂質代謝改善作用をアミリンが増強したものと考えられた。レプチン抵抗性の肥満者においてもアミリンと併用することによりレプチンの糖脂質代謝改善薬としての有用性が期待される。 (2)レプチンの糖脂質代謝改善効果における作用メカニズムの解明 レプチンは骨格筋においてAMPKを活性化することにより脂肪酸酸化や糖取り込みを促進することが知られている。昨年度はレプチン作用の低下した脂肪萎縮症モデルマウスにおいて肝臓でのAMPK活性が低下していることを報告した。そこで今回はレプチンの肝臓におけるAMPK活性化作用とそのメカニズムについて検討した。野生型マウスに対しレプチンを投与したところ肝臓におけるAMPK活性の上昇が確認された。この作用は迷走神経の遮断では変化を示さず、交感神経の遮断において消失した。さらにβ交感神経遮断薬の投与では変化を示さず、α交感神経遮断薬の投与により作用が消失した。また初代培養肝細胞に対しレプチンを投与してもAMPK活性の上昇は認められなかった。以上より、レプチンは中枢神経に作用しα交感神経系を介して肝AMPK活性を上昇させることが明らかとなった。
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Research Products
(30 results)