2009 Fiscal Year Annual Research Report
カベオラ膜結合型ビタミンD受容体を介する神経-骨-免疫系による造血制御の解明
Project/Area Number |
21591243
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 利充 Kobe University, 医学研究科, 准教授 (10219371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 義雄 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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Keywords | ビタミンD受容体 / 交感神経 / 造血幹細胞 / 造血ニッチ / G-CSF / 幹細胞動員 / VDRノックアウトマウス / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
血液は骨で造られる。サイトカインG-CSFによる造血幹細胞の骨髄から末梢血への動員には、交感神経シグナルによる骨芽細胞の抑制が重要であることを片山らは明らかにしてきた。また、幹細胞が骨芽細胞ニッチを認識する際、骨芽細胞周辺のカルシウム濃度を感知していることが報告されている。そこで私達は、G-CSFによる動員で造血幹細胞がニッチを離れる際、交感神経系とカルシウム調節ホルモンが協調して働く可能性を想定した。代表的なカルシウム調節ホルモンである副甲状腺ホルモンやカルシトニンがG-CSFによる造血幹細胞動員を、若干ながら各々が促進したり阻害する事が報告されているが、もうひとつの主要なカルシウム調節ホルモンである活性型ビタミンD3の関与についてはこれまで報告がない。本研究において私達はビタミンD3受容体(VDR)が、G-CSF投与による成熟骨芽細胞の抑制と引き続く造血幹細胞動員に必須であることを、VDRノックアウトマウスを用いin vivoで証明した。また、カテコラミン刺激によりVDRが骨髄で急激に変化することや、培養骨芽細胞でも同様の現象を確認し、ビタミンD3の作用が受容体側の発現量で調節されている可能性が示唆された。本研究は、カルシウム調節因子として認識されている活性化ビタミンD3が造血幹細胞移動の神経系による調節に極めて重要な役割を果たしており、神経-骨-造血という3つの異なる組織の有機的統合システムの要として本ホルモンの新たな機能を提示する独創的な研究成果である。
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