2010 Fiscal Year Annual Research Report
カベオラ膜結合型ビタミンD受容体を介する神経-骨-免疫系による造血制御の解明
Project/Area Number |
21591243
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 利充 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (10219371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 義雄 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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Keywords | ビタミンD受容体 / 交感神経 / 造血幹細胞 / 造血ニッチ / G-CSF / 幹細胞動員 / VDRノックアウトマウス / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
血液は骨で造られる。サイトカインG-CSFによる造血幹細胞の骨髄から末梢血への動員に、交感神経シグナルによる骨芽細胞の抑制が重要である。本研究において私達はVDRノックアウトマウスを用い、ビタミンD_3受容体(VDR)がG-CSFによる骨芽細胞の抑制とそれに引き続く造血幹細胞動員に必須であることを明らかにしてきた。培養骨芽細胞のみならずマウス骨髄の骨芽細胞において、種々のβ2アドレナリン受容体アゴニストが、暴露後短時間でmRNAのみならず蛋白レベルにおいてもVDRを著明に発現誘導している事を見出した。ヒト24-hydroxylase遺伝子のビタミンD応答配列を用いたルシフェラーゼアッセイにより、発現誘導されたVDRは核内受容体として機能し、その転写活性が交感神経刺激により上昇することも確認した。更に、骨芽細胞では交感神経刺激により誘導されたVDR蛋白は、リガンドである活性型ビタミンD_3と長時間にわたって安定型複合体を形成し、受容体下流シグナルとして、破骨細胞とのカップリングや免疫応答に重要なRankl mRNAの発現増加を維持することも発見した。生理的な活性型ビタミンD_3である1,25-(OH)_2D_3の血中濃度は数10pg/mlと厳密にコントロールされているが、個体における生物活性が、血中リガンド濃度の変動以上に、特異的受容体の発現変動によりダイナミックに調節されていることもはじめて明らかとなった。本研究は、カルシウム調節因子として認識されてきた活性型ビタミンD_3が造血幹細胞移動の神経系による調節に極めて重要な役割を果たしており,神経-骨-免疫系による造血制御において有機的統合システムの要としてVDRが機能している事を証明した独創的研究成果として世界的に注目されている。
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[Journal Article] Role for vitamin D receptor in the neuronal control of the hematopoietic stem cell niche2010
Author(s)
Kawamori, Y., Katavama, Y., Asada, N., Minagawa, K., Sato, M., Okamura, A., Shimoyama, M., Nakagawa, K., Okano, T., Tanimoto, M., Kato, S., Matsui, T.
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Journal Title
Blood
Volume: 116
Pages: 5528-5535
Peer Reviewed
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