2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内低アディポネクチン量における易炎症反応性の解析
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21591288
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
根来 孝治 昭和大学, 薬学部, 講師 (70218270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 泰子 昭和大学, 薬学部, 教授 (20155790)
斎藤 清美 昭和大学, 薬学部, 助教 (70307065)
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Keywords | adiponectin / 関節リウマチ / 抗炎症 / Th17 / 制御性T細胞 / 肥満 / adiponectin Tgマウス |
Research Abstract |
平成22年度に予定していた通り、コラーゲン抗体誘発関節リウマチモデルを作製し、adiponectinの効果を検証した。当教室が保有するadiponectin anti-sense Tg (AsTg), sense Tg (STg)マウスは、当初の予想通り、血中adiponectinが低値を示すAsTgは、野生型(WT)に比べLPSによる炎症惹起直後から足関節の腫脹が出現し、関節リウマチスコア高値を持続していた。一方、STgマウスでは、関節リウマチスコアの著しい上昇は認められなかった。コラーゲン抗体処理前後で骨髄及び脾臓細胞の合計細胞数に変化はなかったが、STgマウスでは抗体処理後の脾臓中B細胞数、骨髄中単球数の低値が認められた。更に、関節リウマチとの強い相関が報告されている血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)陽性単球数も著しい低値を示していた。つまり、STgマウスでは、関節リウマチ発症に関わる免疫系細胞の分化或いは増殖が抑制されていることが推測され、局所での高濃度adiponectinは、免疫系細胞の分化を阻害する可能性が示唆された。しかし、AsTgマウスでは、WTマウスと比較し大きな変化はなく、免疫系細胞の数(比率)では説明できなかった。昨年報告したようなマクロファージの酸応答性を考慮すると、炎症刺激に対する反応性の亢進がAsTgマウスでは主要因であり、そのため、WTマウスに比べ関節リウマチスコアの亢進が認められたのではないかと考えられた。以上より、adiponectin濃度の高低によるin vivoでの効果を明確にできたのではないかと考えている。アレルギー性炎症性疾患である喘息と肥満の関係が報告されている。肥満は、adiponectin低値を誘導し易炎症性を獲得する。そこで、T細胞へのadiponectinの影響を解析する一環として、喘息患者でのT細胞動態(小児喘息患者末梢血では、Th17が増加し制御性T細胞が低下傾向にある)を解析し原著論文として報告した。来年度は、T細胞への影響とその分子メカニズムを解析する予定である。
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