2010 Fiscal Year Annual Research Report
グルタメイト脱水素酵素異常症における高アンモニア血症の病態解明と治療法の開発
Project/Area Number |
21591332
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岡野 善行 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60231213)
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Keywords | 遺伝子 / 酵素 / 肝臓 / インスリン / アンモニア / 低血糖 / グルタメイト脱水素酵素 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
高インスリン高アンモニア血症はGlutamate Dehydrogenase(GDH)のGTPの抑制制御が失われるため、GDH活性の上昇をきたし、肝細胞で高アンモニア血症を膵β細胞で高インスリン血症をもたらす。高アンモニア血症の原因としてはglutamateの減少に伴うN-acetylglutamateの産生障害、カルバミルリン酸合成酵素の活性化障害が原因であるとされているが、その発症機序は必ずしも明らかではない。高アンモニア血症の発症機構の解明と治療法の開発のために、ヒト高インスリン高アンモニア血症で発見された遺伝子変異であるL413V GDHcDNAをユニバーサルに発現するトランスジェニックマウスを作成した。 ヘテロのトランスジェニックマウスにて、肝組織での基礎GDH活性はコントロールマウスと同等であったが、GTPによる抑制は減少していた。そして、空腹時血糖の低下とアンモニアの上昇を認め、動物モデルとしての有用性を確認した。臓器間の代謝ネットワークでのGDH遺伝子異常の影響を明らかにするため、肝臓、心臓、腎臓、脳についてメタボローム解析を行った。肝組織ではTCAサイクルでのα-oxoglutarateまでの代謝産物の抑制とその後の増加が認められた。これはGDH活性の機能亢進によりglutamateからα-oxoglutarateへの産生増加のためと推定された。しかしながら、他の臓器ではこの傾向は認めなかった。尿素サイクルでのオルニチンからアルギニンには量的変化は認められなかった。N-acetylglutamateの増加はすべての臓器で認めていない。酵素の動的変化をみるために、DNAアレイを用いたmRNA解析を行っている。
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