2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫の予後決定因子としてのRabファミリー低分子量G蛋白質の役割に関する研究
Project/Area Number |
21591361
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
李 明鎭 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (20273766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 範行 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (00322719)
西尾 久英 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80189258)
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Keywords | 神経芽腫 / 予後決定因子 / Rab15 / 選択的スプライシング / レチノイン酸 / がん幹細胞 |
Research Abstract |
神経堤細胞が交感神経系へ分化する過程で発生する神経芽腫は、小児がん死亡の約1/6を占める代表的な難治性小児固形がんである。特に、半数以上が再発を経験する高リスク神経芽腫患者は、長期生存率が未だ40%に達しておらず、その予後改善には、新たな予後因子の同定が必要である。申請者らは、ホルモンや神経伝達物質の分泌を司り、接着分子/軸索ガイダンス分子の移動や膜成分の再配置を制御する細胞内小胞輸送が、神経芽腫の発症・進展に必須の役割を果たすと考え、細胞内小胞輸送の中心的な制御因子であるRabファミリー低分子量G蛋白質(Rab)に注目している。これまでに、高リスク神経芽腫患者の腫瘍組織および骨髄検体から神経芽腫細胞を樹立し、脳特異的なRabとして報告されていたRab15遺伝子から選択的スプライシングによって生成される神経特異的な発現を示すRab15^<CN>アイソフォームおよび精巣特異的な発現を示すRab15^<AN>アイソフォームを同定している。さらに、Rab15^<CN>アイソフォームの発現がレチノイン酸による神経芽腫細胞の分化に伴って特異的に誘導されることを明らかにしている。最近、選択的スプライシングの異常が、多くのがんで検出され、がんの診断や予後予測のバイオマーカーとして注目されている。そこで本年度の研究では、神経芽腫細胞から再発の起源と考えられるがん幹細胞を単離し、Rab15の選択的スプライシングの検討を行った。神経芽腫がん幹細胞において、2つの新規アイソフォームを含む計4つのRab15アイソフォームを同定した。4つのRab15アイソフォームの総発現量に占めるRab15^<CN>アイソフォームの割合をRab15アイソフォーム・バランスと定義すると、Rab15アイソフォーム・バランスは、神経芽腫がん幹細胞の分化に伴って低下し、神経芽腫におけるがん幹細胞と非がん幹細胞を鑑別するバイオマーカーとしての可能性が示唆された。このように、本年度の研究は予想以上に進展し、当初の目的はほぼ達成できた。
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Research Products
(3 results)