2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規依存性受容体UNC5Dによる神経芽腫細胞死制御機構の解析
Project/Area Number |
21591378
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
李 元元 千葉県がんセンター(研究所), 研究局, 研究員 (00392259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 洋子 千葉県がんセンター(研究所), 研究局, 主席研究員 (60260254)
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Keywords | 依存性受容体 / UNC5D / 神経芽腫 / アポトーシス / 分化 |
Research Abstract |
昨年度の結果から依存性受容体UNC5Dはアポトーシス機構の重要な因子であるカスパーゼ2とカスパーゼ3のタゲートであり、活性化したカスパーゼによりUNC5Dから細胞内ドメインUnICDの放出がUNC5Dの細胞死誘導能に重要であることが認められた。今年度はこれまでの研究結果を踏まえ、神経芽腫の細胞死における依存性受容体UNC5Dの制御機序をさらに検討することを目的とした。 カスパーゼによる放出されたUNC5Dの細胞内ドメインUnICDの細胞内局在を調べるため、神経芽腫細胞株SH-SY5Y、ヒト骨肉腫細胞株U2OSおよびヒト子宮頚がん細胞株HeLaをCDDPまたはADRにて処理し、ウェスタンブロット法および免疫染色を行った。その結果、これらの処理に応じて細胞死を引き起こした際に、UNC5Dの誘導及びcleavageが検出された。同時に、放出された細胞内ドメインUnICDが細胞質から核内に移行することも観察された。この局在の変化はUNC5Dの細胞死誘導能が核内に入っていたUnICDを介して発揮することが示唆された。 次に、UnICDが転写制御能を持つかどうかを検討するため、UnICDを酵母転写活性化因子GAL4のDNA結合ドメインと融合させ、GAL4-UnICD融合タンパク質を発現するベクターを作出し、Luciferase reporterアッセイを行った。その結果、UnICDが転写制御能を持つことが判った。しかし、UnICD自身はDNA結合ドメインを持たないので、別のDNA結合ドメインを持つ転写因子のcofactorとして働くことが示唆された。 これまでに、転写因子E2F1は神経成長因子除去により引き起こした神経細胞死に関与することが報告されている。したがって、UnICDとE2F1との相互作用の可能性を探索した。HeLa細胞にUnICDとE2F1を過剰発現させ、免疫沈降法を行ったところ、両タンパク質は核内に結合することが見出された。そして、核内での共局在も観察された。さらに、クロマチン免疫沈降法(ChIP Assay)を用いた解析では、UnICDがCDDP処理に応じて、E2F1のアポトーシス促進性の転写標的であるカスパーゼ7遺伝子プロモーターのE2F1応答配列にリクルートされることが判明した。 以上の研究結果はUNC5DがE2F1との相互作用によって、神経芽腫の細胞死を制御することが示唆された。
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