2011 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病の効果的治療法の開発と病因究明:分子遺伝学的基盤とプロテオーム解析
Project/Area Number |
21591397
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石井 正浩 北里大学, 医学部, 教授 (90222950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中畑 弥生 北里大学, 医学部, 助教 (20306591)
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Keywords | 川崎病 / 免疫グロブリン / ステロイドパルス療法 / 江上スコア |
Research Abstract |
難治性川崎病に対する効果的治療法の開発 川崎病は、自己完結型の疾患であるため、重症度の層別化を行い難治性川崎病を識別し、それぞれの患者の重症度に適した治療を行う必要がある。我々は256人の川崎病児を用いて重症度の層別化スコア江上スコアを作成した(J Pediatr 2006)。Egami score1点,診断病日4日以内,年齢6ヶ月未満,血小板数30万以下,CRP 8mg/dl以上2点,ALT 80IU以上とし3点以上を特異度78%鋭敏度76%で難治性川崎病と予測した。Egami scoreを用いて難治性川崎病と診断した患者を初期治療として免疫グロブリン療法を単独におこなった群とステロイドパルス療法を併用した群にて無作為前方視的比較試験を行った。治療効果は治療終了後36時間の時点での解熱とした。結果はステロイドパルス療法併用群で治療効果が有意差を持って優れていた。また、冠動脈における影響はステロイドパルス療法併用群で有意差を持って少なかった。この結果は2012年のPediatrics誌に掲載された。 診断が遅延した症例に対する治療法の開発 米国心臓病学会の川崎病に関するガイドラインでは第9病日以内に治療を開始することが望ましいと推奨されている。現実には、11病日を過ぎて初診となる患者も存在する。それらの患者について第20回川崎病の全国調査にて得られた23337名を対象に検討した。初回免疫グロブリン治療が11病日から20病日に行われた164例に二次調査を行った。治療開始が遅い群では不全型川崎病が有意差を持って多かった。治療前後において炎症反応の改善は同等であった。1病日以降に開始のIVIGは、持続する炎症の改善には9病日以内に開始された例と同様に有効であったが、当然のことながら冠動脈障害の予防には不十分であった。そのため、川崎病が強く疑われる症例では、できるだけ早期にIVIGを開始すべきと考えられた。この結果は2012年のPediatrics誌に掲載された。
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Research Products
(14 results)