2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児生体肝移植における分子生物的手法を用いたEBウイルス感染機構の解明
Project/Area Number |
21591404
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Research Institution | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
Principal Investigator |
福田 晃也 独立行政法人国立成育医療研究センター, 移植外科, 医員 (60455417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今留 謙一 独立行政法人国立成育医療研究センター, 母児感染研究部, 室長 (70392488)
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 部長 (70213486)
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Keywords | EBV / PTLD / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
肝移植後の免疫不全状態で発症するEBウイルス(EBV)関連リンパ増殖性疾患は治療が困難であり、移植の治療成績のみならずレシピエントの生命予後にも重大な影響を与える。本研究は移植片を介したEBV感染のメカニズムの解明を目的とし、その予防法を開発することを目指す。移植後のEBV制御を可能にすることは早急に実現しなくてはいけない課題といえる。本年度は当センターで生体肝移植をする全てのドナー肝(0.5cm^3)におけるEBV感染細胞の存在を検討した。また、全てのレシピエントにおいて移植前後において定期的に細胞表面抗原マーカー解析(FCM解析)をおこないEBV感染が検出された前後における遺伝子発現比較解析を行った。平成23年度肝移植した中で、ドナー肝30例においてEBVゲノムは直接の検出はできなかった。しかし、肝組織を1ヶ月培養したところ25例でEBV感染B細胞の増殖を認めた。そのうち1例においてEBV感染B細胞株(LCL)の樹立に成功した。このドナー肝を移植したレシピエントは移植後EBV初感染を認めた。現在EBVの繰り返し配列やポイントミューテーションを比較し同じドナー肝に存在したEBVであるのかを検討している。肝移植後の患児は免疫抑制剤量にともない、EBV特異的CTLに誘導が可能となることが示された。しかし、患児の中には免疫抑制剤量をどんなに施してもCTL誘導は無くEBVコピー数が高値で持続するものが存在する。これらの群ではCD8+/HLA-DR+が増加してこないことが今回の研究で示された。一方、免疫抑制剤減量にともないCTLが誘導されEBV感染細胞が排除された群ではCD8+/HLA-DR+が増加してきた。3年間の移植患児におけるデータ集積によりCD8+/HLA-DR+がCTL誘導のマーカーになり得ること、続けてCD8+/HLA-DR+が増加しない患児においては免疫抑制剤減量を中止し、拒絶を防ぐことが可能となった。
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