2011 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期の栄養因子による生活習慣病関連遺伝子のエピジェネティクス制御の異常
Project/Area Number |
21591409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
室月 淳 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (50239555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 多代 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (70375020)
荒木 慶彦 順天堂大学, 環境医学研究所, 准教授 (70250933)
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Keywords | DOHaD / 2013/10/04 / SPHK-1 / epigenetics / metabolic disease |
Research Abstract |
本研究の目的は,胎生期の成人病発症素因獲得のメカニズムとして,妊娠期低栄養に曝露させた動物実験において肥満素因に関連する肝の遺伝子のエピジェネティクス異常(DNAのメチル化の低下)が生じ,誤ったエピジェネティックな情報はさまざまな疾病をもたらすという仮説を検証することである.すなわち,子宮内環境による胎児組織のDNAメチル化とそれによって生じる遺伝子発現の変化が将来の疾病罹患のリスクに関係することを調べるために,妊娠中の低栄養ストレスによるマウス新生仔組織のゲノムDNAメチル化の変化を定量した. 妊娠マウスを9%caseinのタンパク質制限による飼育群(R群)とコントロール群(C群)の2群に分けて飼育した.出生直後の新生仔より肝を摘出し,アガロースビーズ内に組織を封入した後に,ゲノムDNAのシトシンのメチル化の有無をbisulfite法により調べた.標的遺伝子としてOct-4およびsphingosine kinase-1a(SPHK1)を選び,そのプロモーター領域をPCRで増幅し塩基配列を調べた.R群(n=16)とC群(n=22)を解析の対象とした. シトシンのメチル化比率に関しては,Oct-4およびSphk-1において統計的な有意差を認めなかった.しかしメチル化部位に着目すると,Oct-4では両者に差が認められなかったが,Sphk-1ではメチル化部位が異なるパターンを認めた.CpAやCpTなどのnon-CpGのシトシンにメチル化が付加されていることがパターンの違いの原因と考えられた.DOHaD理論の病態と結びつけるために,DNA microarrayにて遺伝子発現の変化を網羅的に調べ,ターゲットとなる遺伝子をさらに絞り込むことによってIGFBP1などの複数の候補遺伝子を明らかにした.
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