2011 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中の運動による胎仔脳の発達と生後の学習・情動行動における効果とそのメカニズム
Project/Area Number |
21591416
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中村 彰治 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80112051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 淳子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30570808)
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Keywords | 八方向放射状迷路学習 / 空間学習 / 妊娠中の運動 |
Research Abstract |
本研究の最終年度である当年度では、妊娠中の運動が生後の学習行動に及ぼす影響を検討した。学習行動として八方向放射状迷路学習を用いた。この学習は、八方向に放射状に突出した通路の先端に餌の小塊を置き、ラットは周囲の空間を認識してエラーなくすべての通路の先端にある餌を取るという場所記憶の学習である。一度入って餌を取った通路に再度入った場合はエラーとなる。検討した項目は、最初にエラーするまでに成功した回数、エラー回数、すべて成功までの時間である。対照群と妊娠中に運動した実験群は、各14匹のSDラットを用いた。生後3週齢で離乳した後、実験開始までは単独飼育した。学習実験は、7~9週齢で行った。本実験の5日前から食餌制限をし、体重を元の体重の10%以下にならないように維持した。本実験3日前からは、1日5分間は装置上に動物を放置して、装置に慣らした。試行は一日1回として連続する8日間で成績を評価した。1回の試行は、ラットがすべての餌を取り終えるか、あるいは10分を経過した時を終了とした。その結果、エラー回数では対照群と実験群との間で統計学的に有意な差を認めなかった。一方、最初にエラーをするまでに成功した回数は、実験群では対照群に比較して有意に減少していた。すべて成功するまでの時間では、実験群は対照群よりも有意に長い時間を要していた。さらに、実験群のラットでは、学習行動中に"すくみ"行動を示す動物が多く見られた。以上の結果から、妊娠中に運動した母体から生まれた仔の学習行動は、対照群に比較して低下している可能性が示唆された。 本年度は、学習行動実験に加えて、免疫組織化学法を用いて脳内のモノアミン線維密度の変化を検討しているが、現時点ではまだ結果は出ていない。
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