2010 Fiscal Year Annual Research Report
アットリスク精神状態の前向き追跡による神経生理学的介入指標の確立と発症機序の解明
Project/Area Number |
21591529
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
鵜飼 聡 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80324763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
辻 富基美 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10347586)
小瀬 朝海 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10405425)
正山 勝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70364081)
奧村 匡敏 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00464678)
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Keywords | 統合失調症 / 早期精神病 / アットリスク精神状態 / プレパルス抑制 / 経頭蓋磁気刺激 |
Research Abstract |
3年間を予定している本研究の最終日標は、NMDA系、GABA系との関連が示唆されている神経生理学的検査であるプレパルス抑制(PPI)、2連発磁気刺激検査(ppTMS)などを用いて、統合失調症のARMS(at risk mental state)の定義を満たす群を前方視的に縦断的に追跡し、統合失調症への移行群と非移行群を、経時的に得られる種々の臨床データと合わせて比較・検討することにより、1)ARMSの時点で、後の統合失調症への移行を予測する神経生理学的指標を確立すること、2)統合失調症の発症と進行のメカニズムを、有力な病態仮説として注目されているNMDA系、GABA系の機能異常の観点から解明することである。 研究の2年目となる平成22年度は、引き続き参加症例の継続的追加を行うとともに、PPI、ppTMSなどを指標としたARMS群、初発統合失調症群、健常群の3群の比較や各群の判別の可能性、認知機能との関連などについて横断的な検討を継続した。NMDA系との関連が示唆されているPPIについて、ARMS群と初発群では健常群に比して有意なPPIの障害を認め、さらに、初発初期の群は初発中期・後期の群やARMS群よりも障害の程度が強い傾向を認めた。また、PPIの疾患のbiomarkerとしての可能性を検討するために、2群間の判別力などについて検討したところ、これまでにbiomarkerの候補として挙げられている種々の指標と比較して良好な成績を示した。GABA系との関連が示唆されているppTMSについて、発症早期の統合失調症群と健常群を認知機能との関連を含めて比較したところ、患者群では有意な皮質内抑制の低下、すなわち皮質のGABA性介在ニューロンの機能低下が示され、さらにこの低下が認知機能障害の中でも作業記憶課題の障害との関連が強いことが示された。
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Research Products
(17 results)