2009 Fiscal Year Annual Research Report
吸入酸素はMRI造影剤となりうるか―組織酸素代謝マーカーとしての役割
Project/Area Number |
21591542
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 元 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (20333817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 俊文 秋田県立脳血管研究センター, 放射線医学研究部, 部長 (70314599)
茨木 正信 秋田県立脳血管研究センター, 放射線医学研究部, 研究員 (40360359)
麦倉 俊司 東北大学, 大学病院, 助教 (20375017)
町田 好男 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30507083)
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Keywords | MRI / 酸素 / 代謝 / 血流量 / BOLD効果 / 虚血 / 血液量 / 緩和時間 |
Research Abstract |
磁気共鳴画像(MRI)を用いて、吸入酸素をトレーサーとして、非侵襲的に人体各臓器の酸素代謝の異常の有無を検出する目的のため、今年度は、まずファントム実験を、次に正常ボランティア(主として脳)を対象にした実験を行った。 ファントム実験では、生理食塩水とガドリニウム造影剤水溶液に酸素が溶解するときの縦緩和時間の変化を測定し、縦緩和率(R1)が、いずれも、およそ0.2/s/mM(02)で変化することを見いだした。予備的な実験では、動脈血においてもほぼ同様の変化率が得られ、溶媒が違っても酸素分子による緩和時間変化率はほぼ等しいのではないかと思われた。従って、緩和時間の変化を測定すれば、組織酸素濃度がどの程度変化したかを推定できるのではないかと考えられた。 しかし、正常ボランティアを対象とした実験では、室内空気吸入時に比較して、大気圧50%濃度酸素吸入時において、脳R1の増加は0.001/sのオーダーであることが判明した。これにより、縦緩和時間の変化は臨床的に許容できる時間内で捉えることは困難であると考えられた。 一方、同じ濃度の酸素吸入により、脳T2*強調画像の信号は1%程度増加することがわかった。従って、吸入酸素の影響を見る場合、臨床的には、T2*強調画像の信号変化を測定する方が良いことが分かった。また、高濃度酸素吸入時に、スピンラベル法で測定される脳血流量は10%程度減少することが見いだされた。また、我々の用いたスピンラベル法シーケンスにより血流量とT2*強調画像の信号変化を同時に測定できることがわかり、臨床的に有用と考えられた。 さらに、血流と組織酸素代謝の関係をモデル化し、吸入酸素濃度を変化させた際に、毛細管内血液や組織の酸素濃度がどう変化するかをシミュレーションできるウエブページを作成し公開した。
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Research Products
(3 results)