2011 Fiscal Year Annual Research Report
吸入酸素はMRI造影剤となりうるか―組織酸素代謝マーカーとしての役割
Project/Area Number |
21591542
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 元 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20333817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麦倉 俊司 東北大学, 病院, 助教 (20375017)
町田 好男 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30507083)
木下 俊文 秋田県立脳血管研究センター, 放射線医学研究部, 部長 (70314599)
茨木 正信 秋田県立脳血管研究センター, 放射線医学研究部, 研究員 (40360359)
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Keywords | 生理学 / 脳神経疾患 / 医療福祉 / MRI / 酸素代謝 / 血流 |
Research Abstract |
前年度の正常ボランティアを対象とした研究の成果(高濃度酸素吸入による組織緩和時間の変化と血液酸素濃度に依存したMRI信号変化[BOLD効果]、および血流量の変化を定量化し、これから酸素吸入による組織酸素代謝の変化を推定した)を国際・国内学会で公表した。また、論文も投稿中である。 今年度はさらに主幹脳動脈狭窄・閉塞疾患を対象に、PETにより得られる脳血流、血液量、酸素消費量と、酸素吸入MRIより得られるBOLD信号・血流の変化とを比較して、酸素代謝の異常の有無をMRIで検出することが可能であるかどうか知ることを目標とした。 室内空気吸入時に対して高濃度酸素吸入負荷によるMRI信号強度(BOLD信号)と脳血流量の変化を測定し、MRI検査により得られた信号強度および血流量の変化とゴールドスタンダードであるPET検査の結果を比較し、主幹脳動脈狭窄・閉塞患者における低灌流状態における酸素摂取率の亢進について評価・検討した。 これまでの結果を眺めると、高濃度酸素吸入による信号変化は小さいが、PETと比較することにより、酸素代謝・血流量とMRI信号強度の定量的関係が推定できそうである。これにより、MRIによる組織酸素代謝の定量が可能となると思われる。高濃度酸素吸入により、鼻咽頭腔の酸素濃度が増加すると、磁場不均一性が増加し、このためMRI信号強度が影響を受ける。この影響を補正する必要がある。すでにコンピュータシミュレーション用のソフトウェアを開発し、この影響を評価することが可能となっている。 しかしながら、主幹脳動脈狭窄・閉塞患者で低灌流状態により酸素摂取率の著しく亢進した症例が少なく、まだ統計学的解析をするに至っていない。今年度は本事業としては最終年度ではあるが、今後さらに症例のリクルートを続けて研究を継続する方針である。
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