2011 Fiscal Year Annual Research Report
シネMRによる肺高血圧症例の肺動脈収縮期圧・体肺循環の短絡量測定とその臨床的意義
Project/Area Number |
21591570
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
村山 貞之 琉球大学, 医学研究科, 教授 (60239548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣花 泰政 国立大学法人琉球大学, 医学研究科, 助教 (20185713)
神谷 尚 国立大学法人琉球大学, 医学研究科, 助教 (60363678)
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Keywords | cine MRA / MRI / 肺高血圧 / 肺線維症 / 肺動脈血流量 |
Research Abstract |
phase-contrast cine MRAによる肺高血圧患者の血行動態、肺循環-体循環のシャント量についての研究の3年目の報告である。(1)今年度は慢性肺血栓塞栓症にたいする血管拡張術前後で治療効果判定にphase-contrast MRIが有用であるか検討した。1年で5例が目標であったが、慢性肺血栓塞栓症はまれな疾患であり、症例は2例にとどまっている。しかし2例ともMRで計測した血流量は改善がみられており、MRは有用であると考えられる。MRの有利な点は左右の血流量をそれぞれ計測できる点である。慢性血栓肺塞栓症では血栓は本幹より末梢にあり、末梢の血管を拡張する。左右どちらか一方の血管のみを拡張することもあり、左右で血流量を測定し、拡張術を施した部位の血流量に改善が認められれば、拡張術に効果ありと判定しやすい。また両側肺動脈の肺底区枝の走行は直交断面がえられやすく、さらに細かく分配された血流量の測定が可能かもしれない。(2)これまでの研究により肺線維症の患者では肺高血圧症に至っていない段階でも肺血流量が減少している事が判明している。肺疾患に由来する肺高血圧症では低酸素血症による血管攣縮もメカニズムの一要因と考えられている。肺線維症や肺高血圧症に対する酸素投与療法は予後改善効果は明らかとなっていないが、自覚症状の軽減や運動耐用量の改善が期待できる。これらの疾患で酸素投与は肺の血行動態になんらかの影響を与えていると思われるが、その実験的証明はなされていない。そこで肺線維症患者で酸素なしと酸素投与下(鼻カニューレで3L)で肺血行動態に変化がみられるか調べた。肺血流量や流速などのパラメーターを評価したが、酸素投与前後で有意差は認められなかった。今回対象としたのは在宅酸素療法を導入されていない肺線維症患者であり、酸素投与なしでもSpO2は90%以上であった。このように低酸素になっていない患者では健常者に比べ肺血流量は低下しているが、短時間の酸素投与を行っても、phase-contrast MR上でのパラメーターに改善はみられないことが分かった。
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Research Products
(2 results)